連載エッセイ41
「当たり前に生活したい」「働きたい」に向かって
横路 由美子

 土曜日の午後の横路後援会総会、議事日程が終了したところで「その他に何か質問ありませんか」と司会者が問いかけると、「はい!」と元気よく手を挙げたA君。彼は少し障害を持つが、とにかく数字に強く、こだわることへの記憶力は抜群だ。
 「選挙が延びてのびて、いつになるかわかりませんが、9月までにあるのは確かだと思うのですが、去年の秋、僕が自分のお金で色紙を買って作って横路さんにあげた千羽鶴は、まだ有効ですか?」。壇上の横路は「もちろん有効です。充分効き目がありますよ」と答えて温かな笑いが広がった。
 A君ならずとも、何度も総理の座を放りだし、国民の信を問う事もなくズルズルと続いている自公政権にはウンザリだ。

 3年前、障害者自立支援法が導入され、街のあちこちで訓練や小さな手仕事、レクリエーションなど日常活動を展開してきた小規模作業所が地域活動支援センターに移行させられ、就労支援事業を含めて、実利用人数や職員配置の要件が厳しくなった。
 重い障害の人ほど自己負担が増え、地域で暮らすことが大変になったり、作業所報酬が月割りから日割りになったり、作業所の運営が不安定になった。
 生きるために不可欠な支援を「個人の利益」と考えての「応益負担」、「働く場所なのに作業所の利用料を取るのはおかしい」などと見直しの声が上がったのは当然だ。
 A君は両親と暮らしているが、グループホームやアパートで一人暮らしの人もいる。日中は作業所で手仕事やチラシ入れなどの仕事をして月に2〜3千円にしかならない。

 交通事故や脳梗塞、高所からの落下等が原因で起こる高次脳機能障害に悩む人たちでつくる「コロポックルの会」(パソコンやケーキ作り、新聞配達など就労活動やリハビリに取り組んでいる)。
 移動サービスをはじめ重度軽度を問わず何かできることを作っていく筋ジスの竹田代表の「HOP」。
 自分と同じように脳卒中の後遺症で苦しむ人たちに、外に出る機会と手仕事をと幡本さんが立ち上げられて12年が経つ「ストローク友の会」。
 オーク会が開いている札幌医大の横の「コーヒーとカレーの店れ・ぴゅーる」など、障害当事者や家族が先頭に立ってがんばっている。いずれもこの不況下、なかなか仕事がなかったり物が売れないと苦しんでいる。

 憲法記念日の集会の後、札幌駅北口のエルプラザ3階喫茶スペースに立ち寄った。障害者協働事業所「きばりや」が経営している。「無添加・有機・地場産・エコ」がモットー。憲法記念日にふさわしく「9条クッキー」と名づけられた9の形のクッキーに思わず嬉しくなった。
 一息ついて、2週間前に西区民センターで開かれた冨田一幸さんの講演会を思い出していた。冨田さんは大阪西成区で「障害者の就労支援事業」「ホームレスの就労支援事業」「社会的企業ナイス(株)の事業」に取り組んでおられる。
 「働く意欲は働くことによって生まれる」という強いメッセージ。「公園で寝ている人から、公園で働く人へ」「できないという先入観で可能性を打ち消すのではなく、今できることを伸ばして働く意欲につなげる。」「『こんなのあったらいいな』と『働きたい』を結ぶ」。
 冨田さんのアイデアと優しさいっぱいの情熱は、行政もNPOも作業所も大いに学びたいところである。




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