民主ほっかいどう・民主さっぽろインタビュー
1999.8.18


(質問者)
 まず、先頃閉会した通常国会の感想をお聞きします。この国会でガイドライン関連法、盗聴法、住民基本台帳法など、立て続けに重要法案が成立しました。そういう点ではこの国会が後世に歴史的な意味として残るのではないかなと思いますが、横路さんはどのようにお考えでしょうか。
(横路)
 今の衆議院というのは96年に選挙がありました。それから参議院選挙は昨年の1998年ですね。民主主義というのは、各政党が選挙時に国民に対してこういうことをやりますよという約束をして、その約束を実行するというのが基本であり、原則ですよね。
 では96年の衆議院選挙と98年の参議院選挙の時はどうだったかというと、自由党は自民党を厳しく批判し、公明党も自民党を厳しく批判をして、野党として当選したわけです。衆院選でも参院選でも、当時の自民党内閣を批判してやってきたわけで、その選挙公約の中に盗聴法だとか、日の丸・君が代法制化などは入っていなかった。つまり今国会では公約してない事項が突然盛り込まれたんです。
 それから衆院選のとき、国民に対しては、私ども民主党や当時の新進党は自民党政治をチェックし、そしてこういう別な政治をつくりますよということを言っていたわけです。自由党も公明党も当時は新進党でした。ですからそうした意味では、まず彼らがどうして自民党と手を結ぶことになったのか充分に説明しなければいけない。だれに聞いてもよく分かりませんよね、公明党の皆さんに聞いてみても、今まで反自民で一貫してやってきたのが、どうして自民党と手を結ぶことになったのかという説明は何もないわけです。
 この三党が手を結びますと、衆議院ですと500議席のうち350議席占めるわけです。今国会を振り返ってみますと、地域振興券の問題、ガイドラインの修正の問題、盗聴法や住民基本台帳の問題、日の丸・君が代の問題、これらを国会の中で審議した時間というのは少ないんです。国会の外でこれら三党が談合して決めて、国会は通過儀式になってしまっているわけです。民主主義の基本に反した、何でもありの国会だと言われますけれども、民主主義を踏みにじった、本当に許されないことだというように思います。
 その他にも重要な法案は、省庁等統廃合、地方分権法などまだたくさんありました。本当ならば1〜2年じっくり時間をかけて、具体的に詳細な点まで議論しなければいけなかった。しかし結局は議論なしに省庁の統廃合も決められてしまいましたから、形だけ数が減ったけれども権限は何にも譲ってませんから、権限はなくしてませんから、何の行政改革にもなってないんですね。
 その問題はまたあとでお話ししたいと思うんですけれども、同時にそういう国会の中で民主党はどういう分野で健闘したかというと、情報公開法、男女共同参画法、ダイオキシン対策特別措置法、児童売春ポルノ禁止法、それから国家公務員倫理法というように、自民党も政府も敬遠していた法律について議員立法を中心として法案を作成して成立させました。大きい国会の流れの中で民主党としては出来る限りの努力をしてきました。民主党の成果はそういう分野でして、あまりマスコミでは報道されていません。報道されてないけれども、そういうところではしっかりとした戦いをして、がんばって法律を作り上げているということを、皆さんに言っておきたいと思います。

(質問者)
 民主党もそういう分野で具体的な成果を勝ち取っているんですね。
 さて、個別の政策についてお聞きします。現在、失業率はかなり高くなっていますが、その点で経済雇用対策で何か得るものが今国会であったのかということをお聞きしたいのですが。
(横路)
 まずは国会終盤で、産業再生法案というのが出てきました。あれを小渕さんはいわゆる供給側のパワーアップ法案だと言っていますが、実態は何かといいますと、大手企業、特に製造業の後始末法案なんですよ。何にも産業再生になってないんです。それに中小企業、ベンチャー企業の従来からやってきた政策をちょっとつけ加えた程度で、全く中身がありません。
 いままでの政府の景気対策は何かといいますと、一つは需要対策。需要を拡大しようとして公共事業投資をバンバンやりますが、入れても入れてもダメですね。公共事業投資の波及効果というのは少なくなって、最近は福祉投資の方が雇用吸収力などの効果は大きいといわれています。例えば一兆円の投資をした場合の雇用効果が、公共事業では20万人、福祉では29万人というように圧倒的な差が出てきています。しかし政府は従来の建て前を全く変えようとしません。
 それからもう一つは、企業が自分達の負担を軽くしようということで「3つの過剰」を減らそうとしています。ひとつが設備の過剰、ふたつめが投資の過剰、つまりこれは借金が増えてるということです。そして雇用の過剰。これも非常に勝手なことでして、自分達の責任で投資や設備投資をして拡大していたときに景気が悪くなった。ですから本来は自分達の責任で設備廃棄をするなり、投資をやめるなどしないといけないのに、社員の首は切りますよ、あとは政府が面倒を見て下さいよ、設備は廃棄しますから何とか税制上いろいろと優遇して下さいよ、できれば借金も徳政令でチャラにして下さいよと、こういうことを言っているわけです。ですから全く勝手で、他人には自助努力を言いながら、自分達は自助努力していないという姿です。責任も取っていませんし。結局、サプライサイドの政策といっても企業の負担を軽減していくというだけの政策ですね、今のところ。
 今度の金融再生法に基づいていろんな恩恵、商法上の恩恵とか、税法上の恩恵を受けるためには、通算大臣に産業再生計画というのを出して承認してもらわないといけません。わが社はこうして再生しますよという計画は何かというと、私はリストラ計画、つまり従業員の首切り計画になると思います。企業に対して社員の首を切れ、首切りなさいと勧めている政府や内閣は世界中どこにもありません。これはアメリカ政府だって雇用問題が一番大変ですから、企業には出来るだけ雇用しろ、丸抱えでやりなさいと言っているのであって、日本の政府みたいに首切りなさい、首切りなさい、スリムになりなさいと言っている政府は世界中どこにもありません。
 では、私たち民主党はどういう経済景気対策を実行していくのかを説明します。
 最近の調査ですと、7割以上の人が将来に不安があると答えています。将来に対する不安が世の中を覆っているわけです。その将来不安というのは、老後の不安や、病気の不安、あとやはり失業の不安でしょう。まとめて言うと老後と雇用の問題なんですね。ですから医療改革や年金改革、介護問題などの様々な課題をきちんと検討し議論する。年金についても、政府の話では負担は増えますよ、給付は減りますよということなんです。しかしそうではなくて、民主党が提起していますように、やはり給付は減らさないように年金改革をするべきだし、医療改革についても自民党では結局は医師会の抵抗で何にも出来ないわけです、手を付けられないわけです。ですからここはやはり抜本的に大改革をしなければダメでして、将来の不安をなくすことをベースとした政策をつくることが重要だと思います。
 それから経済景気対策でいいますと、やはり財政の構造改革をしていかなくてはいけないわけですから、公共事業の中身を変えて減らしていく必要があると思います。
 日本のこれからの大きな課題は少子高齢化です。これは日本にとって21世紀前半の最大の課題ですね。それに向かっていろんな投資や政策を充実していくということが非常に大事なことだと思っています。
 私ども民主党は公共交通機関のバリアフリーを義務付ける法案の作成をやっています。例えばバスは低床バスにするとか、駅はエスカレーターやエレベーターをつけるように義務付ける。これにはお金がかかりますから、そういうところに補助金としてお金を出せばいい。その代わり義務づけること。そうすることによって全国で仕事ができる。いわば構造改革をやりながらの雇用創出投資です。
 雇用対策でも例えば30人学級だとか、ホームヘルパーの増員だとか、福祉関係の需要を増やしていく。それから働く女性を支援するために保育所を増やしたり機能を強化する。このように、少子高齢化に焦点を据えた政策を集中的にやらなければいけないと思います。

(質問者)
 将来の不安というのが大きいと思います。それは年金についてだったり、医療費負担だったりするわけなんですけど、その国の財源というのはこれからどうなるとお考えですか。
(横路)
 例えば医療でいいますと、保険組合というのは組合健保から国民健康保険まで4つあるわけですね。そこの改革をどうするかという問題がひとつあります。もう一つは、やはり診療報酬制度をどうするか、薬価基準というか薬価問題をどうするか。それから病院の機能分担のようなことをどうするかというようないくつかの課題があると思います。
 いま医療費はだいたい30兆円です。そのうち3割が高齢者医療です。それから検査と薬でだいたい4割を使っているんですね。欧米では10%前後ですから圧倒的に日本は多いわけです。ですからそこをどう押さえるかということで例えば診療報酬について、今は出来高払いですが、民主党案では包括的な支払いにしようとしています。例えば盲腸の治療なら2ランクか3ランクくらいに分けます。包括払いですから、医者は薬を使わないで治したりして上手に治せば経費がかからず儲かるわけです。逆に薬をどんどん使えば儲けは少なくなります
 薬価についても、ある程度の幅を設けて患者に選択させる方法などがあります。ただ包括払いの診療報酬制度になりますと、投薬も自ずからセーブされることは間違いないと思います。ですからまずそこの改革が非常に大事になってくると思うんです。
 それから健康保険は、本当は全部一本化するのがいいと思います。しかし、組合健保のように比較的若い人達が中心になっているところと、国民健保のようにお年寄りが集中するところがありますから、すぐには一本化できそうにありません。いまわが党で考えている改正案は、国民健康保険は都道府県で扱う、政府管掌保険は都道府県に分割するということで、そこを単位にして考えていこうとしています。
 問題なのは、老人保健医療を今までは各健保から出してやっているわけですが、今後これをどうするかということで、これはまだ議論中です。ですから財源の問題の前に、制度的なシステムを改革するということをまずしっかり考えてからやらなければいけないということだと思うんです。それを変えることによって、状況は変わってくるわけです。

(質問者)
 年金制度についてはどうお考えですか。
(横路)
 本当は基礎年金だけで生活できるぐらいの年金給付になれば一番いいのですが。
 いま国民年金は三分の一が未加入だとか未払いということで、年金構造がおかしくなってしまっているんです。ですから今はとりあえず国庫負担三分の一を二分の一にするということ。それから二階建構造の部分をどうするかというなんですが、年金も本当は一本化して統合するのがいいと思いますが、今まで納めてきた金額などもそれぞれ違うわけですから簡単にはうまくいきません。例えば公務員の共済年金だとか厚生年金だとかそれぞれ違いますので、基礎の一階部分はそういう形でしっかりやる。
 あと、今の日本には年金の積立金が150兆円くらいあるんです。こんなに積立金を持っている国は世界中にありません。だいたい人口ピークはもう見えてきていまして、たしか2005年が生産人口のピークでした。あとは減っていく構造になりますので、150兆円の積立金をうまく取り崩していけばいいと思います。しかし政府はこれから積み立てようとしている、西暦2020年くらいには400兆円くらいにしようとしているんです、150兆円を積んでいる国すらないのに。
 私ども民主党は厚生年金について、5%ダウンという政府案には反対で、給付は現状を維持して従来と同じように賃金だとか、物価だとかにはスライドさせていこうという考え方をベースにしています。その財源には積立金を取り崩していけばいいのではないかと考えています。

(質問者)
 一階部分は下方修正で、二階部分は積立金の取り崩しということでしょうか。
(横路)
 一階部分はベースになりますから、最終的には税負担になりますね。自由党は全額税負担と言っていますが、問題は年金にしてもそうですし介護保険もそうなんですが、企業の費用負担の軽減になるということなんです。企業の負担を軽減したいということだけなんです。
 そうすると法人税の負担を含めても軽くなる。しかし今の法人税負担が重いというのは間違いなんです。最近のいろんな調査によりますと、一つは平等な社会、中産階級中心の平等社会という日本の神話が崩れて二極化が始まっている。その二極化の勢いは、所得についてはむしろアメリカ並になってきている。資産はまだそこまではいってません。しかしこれから所得が分化していけば、資産も分化していくわけです。
 それから日本政府は大きい政府かというと、小さい政府なんですね。日本のGDPに占める社会保障費の割合だとか税負担などを考えてみますと、例えば北欧、中央ヨーロッパ、南ヨーロッパ、アメリカの4地域と比較してみますと、だいたいアメリカに近い数字になっています。ヨーロッパの一番下のクラスでアメリカのちょっと上という感じです。だからすでに日本政府は社会保障に関する限りは小さい政府になっている。ですから人々に非常に大きな錯覚があるというふうに思います。

(質問者)
 先の国会では様々な法案が通りました。その状況から小渕内閣の正体が見えてきたと思いますが、小渕内閣がこれらの法案を通じてどういうものを目指しているとお考えですか。
(横路)
 本人がどのように考えているかは別にして、非常に国家主義的な傾向が強まってきていたということははっきりしています。今の路線で更に議論されている教育基本法の改正と靖国神社の国営化というのが極めて象徴的だと思います。
 日本の20世紀を考えてみますと、初めの半世紀は日本が近代国家の道を辿りながら、同時にアジアに対して侵略行為を行なっていった時代です。あとの半世紀はこの時代の反省の上に成り立ったと思うんです。その反省は何に凝縮しているかというと、やはり憲法に凝縮しているわけです。外国に対して戦争を行なったということは、中国や朝鮮半島の人々を苦しめ被害を与えたということだけではなくて、日本の国民にも非常にいろんな意味での悲哀を与えたわけです。
 戦前戦中は、治安維持法で人権が完全に失われて、何をやるにも禁止された時代です。それから戦争を遂行するためには人々の反対する声を抑える必要と同時に、資源を戦争に向けて総動員するという目的で役所が中心になって資源配分をするという仕組みが出来たわけです。国民主権や基本的人権の尊重、平和主義というのは、いわば20世紀前半の反省の上に新しい気持ちでスタートしようとして出来たと思います。
 このベースになっているのはものは何かというと、普遍的な人間としての価値観というものだと思うんです。ですから教育基本法というのも、人間としてどうあるべきかということがベースになっている法律だったわけです。
 戦後50年経って新しい世紀に入ろうとしている今、この20世紀100年間を全体としてどう総括すべきなのかという大変大事なところに来ているわけです。20世紀前半は非常に強い国家主義の時代だった。後半の50年はある意味でいうと市民主義というか、そこまではならなかったけれども、反国家主義というか国民主義というか、そういう時代だったと思うんです。
 ただしかし、この国家主義から市民主義への転換のところで、自立した個人というかたちで参加して選択し決定するということが出来ない仕組みになっているわけです。なぜそうなっているかというと、ひとつはやはり霞ヶ関と永田町を軸としたいわゆる癒着の構造、日本列島タテ社会のごとくですが、そこを頂点にして約3000の市町村を支配するという構造になっている。それに対抗する動きというのはいわゆる地域のヨコのつながりでして、これは介護問題や福祉問題を考えるネットワークや町興しネットワークなどの形で出来てきていますけれども、成熟した市民主義にはまだ成っていないというところに日本の持っている民主主義とか個人主義、自由主義というものの弱さがあると思います。
 21世紀は過去に逆戻りして国家主義の色彩を強めるのではなくて、むしろまだ未熟な市民社会というものを発達させ、その中に真の意味での個人主義、あるいは自由主義や民主主義を根付かせていくというのが課題だと思うんです。
 ところが今の小渕内閣はむしろ国家主義的色彩を強くして、またもや個人を消そうとしている、市民を消そうとしているわけです。だから日の丸・君が代の法制化後に、今朝の新聞にもあるように忌野清志郎さんのロック調の君が代のCDを会社が自主規制という形で発売禁止にしてしまうんです。これなんですよ、一番問題なのは。徐々に規制しながら、集団主義になってしまうというところが問題なんです。政治がその線をどんどん引いてしまっているわけです。
 単に戦前に戻るということではない。時代は変わっていきますから。しかし、20世紀において一番反省すべき日本の国家主義がもたらした問題というのはたくさんあったにも関わらず、今まさに国家が中心になって盗聴法や住民基本台帳法、国旗・国歌法を成立させた。国家主義を再び押しつけるような傾向は非常に強くなっていると言えます。
 教育基本法の改正問題が出てきたり、靖国神社を国営化しようという動きはまさにそうです。なぜいま改正が必要なのか、なぜ靖国神社の国営化が必要なのか。それはこれから戦争が起きて亡くなる人が出てくるということを想定しているからじゃないですか。だからそこが非常に大きな問題なんです。

(質問者)
 そこで野党の働きが重要になってきます。民主党は「市民が主役の民主党」というキャッチフレーズのように市民主義を押し進める政党であり、一方で自民党は国家主義を進める政党だというように思います。しかし先の国会で民主党は多くの国家主義的な制度の成立を阻止できなかった。数が足りないということもあったと思いますが、55年体制下ではこのような法案は通らなかったのではないかという気持ちがあります。どうして阻止できなかったのかというところをお聞きしたいのですが。
(横路)
 ひとつは、ある意味でいえば民主党の持っている弱さというのは、連合の持っている弱さとも通ずるわけです。連合が大衆的な運動を出来るかというと、様々な潮流があるために、すべての課題については出来ないでしょう。そういう側面は民主党の中にも残念ながらあるわけです。つまり大衆運動というものを組織するパワーが弱かったのだと思います。
 連合は雇用問題が深刻になってきた今年の春から運動を始めましたが、平和問題や憲法問題などになると、これはちょっとまずいのではないかという自主規制のかたちになっているし、民主党もややそういう側面がある。ただ盗聴法に関して私どもは、特に参議院ではみんな頑張って反対運動を起こしました。ですからやはり大衆的な運動の展開というのが必要だと思うんです。秋には盗聴法と介護保険問題で、民主党としても大衆的な運動を起こしていこうと思っています。

(質問者)
 その問題と関連しますが、自民党と自由党が介護保険制度で内閣不一致がありました。その点について菅代表は、こういう基本法案で内閣不一致が起こるのはおかしいという話をされていましたが、民主党の中でもガイドライン関連法案で対応が分かれました。国防というのは国の最も基本的な政策のひとつだと思うのですが、対応が分かれたことについてお聞かせ下さい。
(横路)
 党内で議論対立があるのは各党同じです。自民党だってあります。わが党も結成してまだ一年半ですから、ある意味では当然のことです。しかし閣僚の中の意見不一致と、党内で意見の議論をしているということはちょっとレベルが違う話だと思うんです。
 ガイドライン問題を議論していくなかで、これはやはりいろいろと問題も多いから修正しようということになりまして、早い段階から修正案をまとめました。その修正を求めたときに、修正案が通らなかったら原案に反対するというのは普通ですよね、その態度を決めておけば混乱しなかったと思うんです。
 修正案というのは、まず周辺事態の認定、周辺事態に基づく基本計画の作成、自衛隊の出動などすべてについて、国会の事前承認が必要だというのが修正のポイントになっています。それからもう一つは、周辺事態というものを日本の安全に直接関わり合いのある、つまり日本の国土への攻撃につながるような、そういう事態に限定をかけた修正案なんです。
 周辺事態の一番大きな問題は何かというと、日本の自衛隊は日本の国土を防衛するための組織なんですが、今回の周辺事態では、アジア地域の紛争に介入する米軍に自衛隊が協力をするというところです。つまり日本の国土は攻撃されていないにも関わらず、日本の自衛隊が出て行くという形になるわけです。ここが憲法上でも安保条約上でも非常に大きな問題点なんです。
 ですから私どもは、そうではなくて今の安保の枠の中に戻す修正案を出したんです。このガイドラインは、廃案にするよりは2つの修正案を勝ち取った方がむしろいいんです。ガイドラインというのは政府間の約束事なので、国会の審議がなくても自動的に動いてしまうんです。
 また、周辺事態法というのは後方地域支援活動と捜索救難活動という2つの活動をできるようにしようという法律でして、政府は巧みに問題や危険性を見えにくくしているのです。ですから廃案にするのではなくて、修正して限定することが必要なんです。
 それから日の丸・君が代についてもいろいろ議論しました。みんな日の丸にはそんなに抵抗感はないけれども、君が代についてはやはり憲法の国民主権と歌詞との違いがありますし、若い人達からももっと元気のいい歌がいいんじゃないかというようなことが言われました。ですから君が代の方は時間をかけて議論して決めようとしたんです。
 例えばオーストラリアのように国歌を2つ持っている国があります。第一国歌がGod save the Queen です。イギリス女王が来たときにはこちらを使うんです。また、オリンピックの時などには、国民投票で4つか5つの候補の中から決めた第二国歌があるんです。国内ではもっぱらこちらを使っているようです。だから日本の場合も、天皇家の儀式などには君が代を使い、オリンピックなどの時にはもう一つ歌を作って使うという意見もあったんです。
 いろいろ意見はありますから時間をかけて議論をしよう、いずれにしても法制化すべき問題ではないと、しかもこんな会期延長のどさくさにまぎれて提案して、自自公で無理やり決めてしまうというのはおかしいじゃないかという意見が多かったんです。ですからこれも修正案を出して、それが通らなければ原案反対ということでやればよかったんですが、党内にいろんな意見がありましたので自由投票にしました。だから国旗・国歌をどうするかというのは政策の話ではないんです。政策については党内の意見を統一しなければなりませんけれども。

(質問者)
 民主党の再生に話を移します。党の理念や政策を再構築する必要性があると思うんですが。
(横路)
 再構築というよりも、党のスタンスそのものについては私はこのままでいいと思います。民主中道ということでいいんです。問題は中身なんです。例えば経済政策ですと、二つの方針をとらないということははっきりしています。全部税金でやる大きい政府はとりませんよ、全部市場が供給するというのは無理ですよと。政府が果たす役割と市場の果す役割をうまく分担しましょうとは言っているんです。それ以上は言っていません。だからそこをどうするかというような詰めは必要になってきます。ただ言葉で民主中道か中道左派かというような議論をしても仕方がないので、それは内容でやるしかないと思うんです。
 菅代表の言っていることは、私の考えとほとんど変わりません。路線的に何かを見直すということではないのですが、そうすると執行部体制うんぬんの話になってしまうんです。

(質問者)
 その執行部体制についてなんですが、それは党改革が必要だということでしょうか。
(横路)
 その党改革は何かというと、党総勢150人という数なんですから、まずチームプレーでやるということがひとつ。それから地方組織を早く一本化するということ。また、地方議会では会派が一緒になっていないところがありますので会派を統一すること。一緒にできない原因が何かは分かっています。分かっているけれどもそれができない。この問題が残っている限り、党として一本化することはできません。ですからまず地方における組織の統一が必要です。
 国会レベルでいうと、私どもの党は個人個人は非常に優秀です。能力は物凄くあります。そこでチームプレーが重要となるのです。どうやって動かしていくかというのは執行部の仕事です。まず党にとって必要なのは、執行部の運営方法と地方組織の問題のふたつでしょう。

(質問者)
 今のお話しを進めて、政権獲得の具体的な戦略についてお聞きしします。また、それに加えてこういうことが今必要なのではないかということもお聞かせ下さい。
(横路)
 それはもう衆議院選挙ですよ。300小選挙区に候補を立てて、過半数とることを目標にやることです。国民に強くアピールして、一つでも多くの議席をとるということです。国民が考えていることは、不安のある今の生活や将来について、あるいは世界平和などに対して、民主党がどれだけしっかりとやってくれるのかということだと思います。それを考えることが先決でして、党内の組織改革は政権を取った後でも間に合うことです。

(質問者)
 北海道の衆議院選挙への具体的な戦術というのは、地元の議員に任されているのですか。
(横路)
 いえ、8月9日に選対会議があったんですが、政策的なコンセプトを明確にして、ポスターなども北海道独自で作るように決めました。それぞれの担当も決めてから本格的にスタートすることにしています。

(質問者)
 それでは最後に、民主党の代表選には出馬されるのでしょうか。
(横路)
 まだ結論を出していません。周りから出ろ出ろと言われていますが、いまはまだ考えているところです。

(質問者)
 今日はどうもありがとうございました。