民主議員ネット・北海道 政策研修会

「日本国憲法と民主党がめざす政治」
2000.11.18
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 皆さん、どうもこんにちは。いま司会から話がありましたが、本当は山口二郎(北大教授)さんが司会をして、私と鳩山さんが出席して憲法の議論をするという計画で、私はそれをお受けしとったわけですが、その後、いささかいろいろと事情があったようで、とうとう私一人になってしまった次第です。
 皆さんには6月の総選挙で、全道各地で大変お力ご支援をいただきましたことを心から感謝申し上げたいと思います。
 しかし、もう一度皆さんにご苦労をお掛けすることになる可能性も非常に強くなってきたということを申し上げなければいけないと思います。


「自民党政治の終わりの始まりに」

 最初に、今の政局状況ですけれども、私は基本的には自民党のなかの権力闘争だと見ております。それは、今度の衆議院の総選挙で、一つは皆さんご承知のように、いわゆる各県の一区といわれるところ、都市部を中心に自民党はもうほとんど小選挙区で負けてしまった。そして、自民党としての得票が小選挙区の得票に比べて800万票も低いということで、参議院選挙の選挙制度の改悪を力でもって押し切ったわけです。
 しかし、森総理のもとで中川官房長官のスキャンダルを含めて、このままだと自民党は沈没してしまうということで声を上げたのが加藤さんなわけでありまして、これは決して、日本の国の構造的な改革を抜本的にやっていこうと、自民党的政治を改革しようという高い志をもって加藤さんが手を挙げたとは、私はちっとも思いません。自民党のなかの権力争いである限りにおいては、我々はそれに加担して自民党を助けるようなことはしてはいけないのだと思っております。
 彼も、前に大平・福田の闘いのときに、欠席をした福田さんも森さんも別に除名も何もされていないのだから、今度もそれはないだろうというので、自分は新党を作ったり、離党をする考えはないというきれい事を言っております。しかし、不信任に賛成すれば、今回は除名処分になって、新党へという可能性が非常に強いだろうと思うのです。結局、どれほど加藤・山崎グループがまとまるのかということです。
 例えば北海道でいいますと、加藤派は北村さんで、山崎派は武部さんですよね。では、北村さんのように一度党を離れてまた戻ってきた人が、また本当に出るのだろうかということになりますと、こういう人が加藤派には10人ほどおられます。昨日の夜の段階ですと、加藤派で血書に名前を書いたのが22名といっていますが、血判状を押したのがですね。ともかくその固まり具合を見て、これからどうするかというような対応、動きになっていくのだろうと思いますけれども、しかし間違いなく言えることは、やっぱり自民党政治の終わりの始まりということだと私ども見ていかなければいけないと思うのです。
 ですから、もし不信任が可決されると、これはもう一気呵成の選挙になります。その可能性も大いにあります。その場合には、5日から始まって17日の投票日か、一週間後の24日の投票日ということになるわけですが、クリスマスが投票日になるとはあまり考えられない。たぶん17日が投票日になって、もうワワッと選挙になるでしょう。
 20日月曜日の夜、私どもは予算委員会の野党の質疑が終わった段階で、採決の前に不信任案を出そうと考えております。そうすると不信任案の審議が優先されますから、夕方から夜の本会議ということになります。採決は夜8時から9時とか、もうちょっと遅くなるかもしれません。そして不信任が成立したときに、すぐ解散するかどうか。大平(元首相)さんは不信任成立と同時に解散の宣言をしました。そうすると21日には、この会場に民主党北海道の幹部の方もおられると思うのですが、すぐに選挙対策本部か何かを作ってスタートしなければなりません。もう時間がないですから、原則的には前回立候補した人にもう一度頑張ってやってもらって、この前のポスターをまた作って、そして宣伝カーでかけずり回るという選挙になると思います。
 事情は各党とも同じですから、そうした中で政権交代をめざしていくことになりますし、総辞職になったときに、では民主党が首班指名選挙にどこでどう参加するのかとなるわけです。これはまだ党内として方針は決めていません。加藤政権で走りまくっている人もだいぶ党内にもおりますけれども、まだ決まっておりません。本来ならば、野党第一党が政権を担うということで、飛び出してきた自民党のグループにも我々に協力しろというのが普通でしょう。ともかく一度、自民党を野党にしなければなりません。


「いま何が問われているのか」

 細川政権が誕生したときに非常に惜しかったのは、自民党を政権に復帰させてしまったということです。細川政権が誕生して半年ぐらい経ってから、各業界団体、例えば理容師会や調理師会など、みんな自民党を押しているところが、自民党が野党になったものですからどうしようかと。そうかといって新生党や社会党とつき合いもないしということで、とりあえず金も出す応援もするというのは自由に任せようと決定したところが出てきたのです。
 これはおもしろくなってきたなと思っていましたら、自社さ政権になってしまって、自民党をもう一度政権に戻してしまった。自民党は2回ぐらい予算編成から外せば潰れる政党だと思います。やはり一度潰して、この自民党的な政治を止めなければなりません。
 いま改革が進まないのは、例えば医療改革にしてもそうですが、医師会という既得権をもっている大きなプレッシャーの前で結局、何の改革もできないで、国民の負担増だけ決めてしまう。今回の国会でも、行く病院によって診療代や薬の負担額が変わる法律ができました。そういう構造になっていますから、そこを一度徹底的にバラバラにしない限り、抜本的な改革はできない。ですから自民党を野党に追い込んで潰すということは一つの目標、短期的な目標にはなると思います。
 これについてはまだ結論も出していませんし、では例えばその場合でも、共産党は支援しないと決めていますし、たぶん社民党も支持しないでしょう。そうすると多数派になりません。したがって、いずれにしても自民党から飛び出てくるのがいったい何人なのか、本当に飛び出してくるのかというところが問題になってきますし、私どももただ単に自民党を潰せばいいということではなくて、どういう政治をやるのか、何をやるのか、いま何が問われているのかが、すべての政党、政治家に問われている課題でありまして、今日は本題としてそのへんのところのお話をして、そして鳩山さんの憲法発言の問題点についてお話をしていきたいと思っております。


「悪化し続ける社会状況」

 今の日本の状況について、皆さんご承知のように政府は景気が良くなったと言っていますが、全然良くなっておりません。どんどん借金ばかり増えていって経済は良くならない。他方、国や地方の社会の中ではいろんな問題がたくさん生まれてきています。
 企業は売り上げが伸びませんから利益を上げるために経費を落とす、特に人件費を削除するためにリストラをずっと進めてきました。日本ではリストラという言葉が従業員の解雇を意味してしまうほど徹底してやってきました。
 その結果、どうなっているかというと、社会のなかには非常にいろんな問題がたくさん生まれてきています。例えば犯罪が非常に増えてきている。窃盗犯ですと、この2、3年で毎年10万件ぐらいずつ増えています。凶悪犯罪も増えています。ただ一方で少年犯罪は減っているのです。少年法の改正がいろいろ議論になりましたが、少年犯罪はグーンと減ってきています。少年の凶悪な犯罪も減ってきているのです。ただ特異な事件が起きてきて、そのことに世論の関心が集中して、ああいうような少年法の改正になってしまったわけです。
 それから自殺者が増えています。これはリストラの始まる前に比べて年間で1万人ぐらい増えているのです。こんなにたくさん自殺している国はありません。40代、50代の男性が多い。急激に増えています。いま年間で33,000件です。またホームレスも30,000人を越えて、これも増えてきています。大都市が中心ですけれども、全国の中小都市も含めて、札幌から沖縄の那覇に至るまで、ホームレスが拡大してきています。こんな現象も、今までの日本のなかにはなかった状況です。
 それから生活保護が各市町村で増えてきていまして100万人を越えました。国の負担は毎年補正予算で追加しなくてはならない。10年前には1兆円を切っていました生活保護費が、去年は1兆5千億円を越えております。
 それから企業倒産も増えていまして、先月は日本の史上最高の倒産金額になりました。倒産件数も98年がそれまでの最高ですが、これを上回る勢いで倒産件数が増えています。例の保証協会による関連融資が返済時期になってきまして、倒産件数がずーと増えてきています。それから失業者が310万人。300万人を越えてますが、このうちの100万人は世帯主で失業が長期化しています。この失業が1、2年と長期化した世帯主の失業が増えてきています。
 日本の歴史の中ではかつてない状況が生まれてきています。本来であれば社会的不安となってもいいような状況なのですけれども、そうならないで済んでいるのは、生活保護や雇用保険制度、それから年金制度などが何とか機能しているからだと思っております。


「消費はなぜ伸びないのか」

 これだけ景気対策予算を使いながらどうして景気が良くならないのかといいますと、よく言われるように経済の6割を占めている個人消費が伸びないからなのです。消費が伸びないのは何故かと言いますと、もちろん所得が増えないということもありますが、所得が増えている層と増えていない層に分かれていて、大企業が利益を上げると同時に、大企業で働いている年収800万円以上の人々の所得は、ここ数カ月毎月上がっています。
 しかし、年収640万円以下の所得の人々はこの1年間ぐらい毎月所得が減っています。つまり大企業で働いている人、中小企業で働いている人、そこに二極化が起きているというわけです。所得が総体で増えても、階層によっては増えている階層もあるけれども、増えていない階層もありますから、なかなか消費が伸びない。
 それからもう一つはやはり不安です。何といっても将来への不安が解消されない限り、日本の国の経済というのはまわっていきません。そこが一番の基本だと思います。
 不安ということでいいますと、大きい問題はやはり雇用問題であり、そして老後の年金問題が中心になるだろうと思います。そういう不安の解消なしに、いくら市場が自由で競争的な市場になったとしても、人々はそれに対する信頼感を持てませんから、お金を使わないというごく当たり前の行動をしているわけです。
 よく経済評論家が出てきて、日本人はお上に頼りすぎだと、これから大事なのは自己責任で自立することが大事だなんて言っていますが、いま国民がやっていることは何かというと、お上が当てにならないから貯金をして自分で生活防衛をしているのです。つまり自己責任をみんな果たしているから貯蓄率が上がっているわけです。お上は頼りにならないから、将来の不安が解消されないからなのです。そこが非常に大事な点であります。
 二極化の内容をもう少しお話ししますと、それは非常に大きいものがあります。例えば高齢者世代の所得で言いますと、1,000万円以上の所得を持っている高齢者世帯は平成10年度の数字で3.3%です。所得が400万円未満という人がだいたい78%、ほぼ8割を占めております。300万円未満になりますと60%、200万円未満の方が41.5%。高齢者世帯ですから、夫婦合わせた年収が200万円以下という世帯が4割いるのです、日本の社会の中で。一方で非常に所得を持っている人もいる。
 これがまた資産の面でも同じことが言えるわけでして、貯蓄の高齢者世帯を見てみますと、100万円未満の貯蓄しか持っていない方が32%。一方、1,000万円以上の貯蓄を持っている方が25%。このように階層が非常に分かれてきていますから、これからの高齢者政策を考える場合には、この二極化を十分考えないといけないわけです。
 平均値で議論するというのはどうも我々の癖になっていますけれども、平均値で勤労者世帯の貯蓄がどうだとか、あるいは貯蓄を年代別にみると、確かに20代から上の方に上がり、年寄りは金持ちだと言われますが、それは平均値の話であって、実体的にはそうではなくて二極化、分化が進んできているのです。この点が非常に重要なのです。


「格差拡大を防ぐ政策を」

 ですから、どういう政策が必要かといいますと、二極化が進むと社会が不安定になります。いろんな問題が起きてきて結局は社会的なコストが相当かかってくるわけです。そうすると従来の、例えば税でいうと累進課税方式は堅持していかなくてはいけない。相続税は引き下げるのではなくて、機会の平等からいえば本来ならば上げていかなくてはならないということになるわけですし、資産課税の軽減措置が行われていますが、これはやはり納税者番号制度で総合課税に代えていくということをやって、調整をしないといけない。
 いま一般的に経済評論家は、税はフラットにして累進課税率はグッと下げるべきと言っています。いまの日本は、税負担は所得税も法人税も先進国の中で最低です。これも財政赤字が拡大している一つの要素でして、これ以上どんどん格差を広げていくと、消費は伸びていかないと思っております。
 アメリカでも格差拡大へ対応する政策がありまして、年収100万円という非常に少ない収入の家庭で子どもが2人いるような世帯に対して、40万円程度の補助金を出しています。低所得者層にはそういった実質的な補助制度をアメリカなどでもやっていまして、格差が拡大していくことは好ましいことではないという流れになっています。
 すべて平等という話にはなりませんが、大きな格差になっていくことは問題だと言わなくてはならないと思うのです。なかなか消費は伸びていかない。企業収益が回復すると普通、設備投資に回って、その設備投資によって新しい需要が生まれたり、生産が拡大することによって雇用が拡大して、所得が増えて、というのが経済がうまくまわっていく仕組みです。けれども今の場合は、企業は利益を上げているけれども、投資といっても生産拡大の投資につながっているのはIT関連の企業だけです。IT産業が好調といっても、主に携帯電話やその部品を作っている製造業のところで、これも半分は輸出なのです。アメリカがIT革命で良くなったというのは、IT関連ばかりではなくて普通の企業の既存の産業分野で労働生産性を上げて、そして経済がよくなっていっているということであって、日本はまだそこまでは行っていません。


「雇用流動化が招く不安」

 それからもう一つ、非常に大きな要素は「雇用の流動化」です。この間のリストラの中で、非正規社員がどんどん増えて、いま雇用の27%が非正規社員です。特に女性の場合は正規社員の比率が下がっています。いま新しく短大や大学を出た女性で正規社員になるのは本当に少ないのです。この5年間ぐらいで女性の正規社員率は63%から53%に、10%も減っています。その代わりがパートと派遣労働になっているわけです。
 派遣労働も欧米とはちょっと違った派遣労働の使い方をされていまして、欧米ですと、病気で休んだとか、一時的に人が必要になったとかで派遣労働を受け入れていますので、働く期間は数週間から数カ月です。日本の場合は、完全に正規社員の代替労働として使われていまして、20代、30代の女性が8割です。最近は、企業の中でIT関連の仕事をしていたが販売や営業に回されたので、自分の得意な分野を生かしたいので人材派遣の企業に登録してそういう仕事をしている男性も増えてはいますけれども、主力はやっぱり女性が中心になっています。そして賃金はだいたい8掛けから6掛けぐらいです。保険の適用もなかなか厳しくて、皆さんご承知のように雇用保険は1週間で20時間以上、そして1年以上の継続労働が条件ですが、このごろのパート労働は1日4時間、週5日、20時間以内におさめて雇用保険の適用なしというパート労働が増えています。厚生年金や健康保険についていいますと、労働の日数や時間が正規社員の4分の3以上という要件がありますので、この適応を受けていない人々が結構います。
 非正規社員が全体の27%も占めて、パートと派遣労働がわっと増えている要因には、何と言っても将来への不安があるわけです。
 失業統計はご承知のように、就職活動を求めて登録している人の数ですが、もう諦めてしまっている人がいるのです。最近学者の中で、失業者に対して「失望者」という言葉で、310万人に対応する数字として400万人、400万人が実際は就職したいのだけれども就職口がなくて、もう就職を求めるのを諦めてしまっていると言われています。20代と、50代、60代なのです、この400万人の人というのは。
 いまフリーターは180万人と言われています。フリーターというと何か格好いいようにみえますが、結局は就職口がなくて親のすねをかじって、そして時々のアルバイトで仕事をしているわけですから、こういう若者がどんどん増えていったら、益々少子化になるばかりです。ちゃんと結婚して、家族を持って、子どもを産んで育てるということになかなかならないわけでありますから、フリーターといって喜んでいるわけにはいきません。確かに、一時的に働いてもらえる労働力の需要は企業サイドからありますけれども、あまりにもそこがどんどん増えてしまうのは非常に大きな問題です。


「労働人口を増やすオランダモデル」

 そこでどうしたらいいかというと、いわゆる「オランダモデル」というのがあります。オランダモデルというのはパートや派遣労働について、正規社員の労働との格差をなくする、差別を禁止するということで、1時間単位あたりの労働時間や保険適用については差別をしないということなのです。これはオランダの経済が非常に厳しくなって失業率がアップして財政赤字が増えたときに、政府と労働組合と経営者団体で議論して合意したことです。
 一つは、賃金はある程度抑制することが前提になっています。その上で、例えば週の労働時間が36時間から38時間の週休2日の労働、それから週30時間から32時間の週休3日の労働、それから週20時間労働、これはみんな正規社員なのですが、労働形態に選択できる形態を導入をしたこと。
 そしてもう一つは、日本でいうパート労働形態という、四つの労働形態がありまして、夫婦2人で働くことを前提にして、二人合わせて2ではなくて、1.5とか、1.6ぐらいの給料でという感じで全体を抑えて、しかし完全にワークシェアになっているわけです。労働人口は増えているわけです。こういうやり方をして、オランダは比較的うまくいっています。
 もちろんいろんな批判がありますが、失業率は解消して財政赤字もなくなったと言われておりまして、この中では、先程の週30時間から32時間の週休3日労働をオランダ政府などは進めているのです。そうすると土日は夫婦一緒に休んで、あと週1日は夫と妻で違う日に休みを取るということで、どちらかが子供と一緒にいる時間を増やそうという考え方になっています。
 こういうのも一つの考え方なのですが、いま私が言いたいのは、結局、経済を立て直していくためには個人の消費が回復していかないとなかなかうまくいかないだろう。これは確かにバブルを経験してみんなも利口になったわけです、みんなが節約しようと。良くて安いものを求める消費行動になっていることは悪いことではないのです。前のようにどんどん浪費せよと言っているわけではありませんが、それにしても消費がもっと増えていかないといけません。そうすると、いま言った将来の不安解消という点でいうと、雇用でせめてパートや派遣労働について差別を禁止することがうまく合意できればと思っています。
 その前提として、労働組合は自分たちの周辺にいるパートや派遣労働者を組合員としてしっかり組織しなければいけないと思うのです。そうしないと、連合というのは本当に公務員労働と正規社員労働だけの労働組合になってしまって、それはもう多数派ではなくて少数派になってしまいます。


「安心のネットワークの形成を」

 日本の社会はまず安心のネットワークをしっかりつくること。そして財政再建は歳出カットと歳入増をどうやって組み合わせて実行するかという話につきるわけです。
 イギリスやニュージーランドでは「小さな政府」をめざした政策に沿った大改革が進められ、その結果いろんな悪い影響が教育や医療や福祉の分野に出てきて、結局、中道左派政権、社会民主政権に変わっていったという経緯があります。何も日本も同じ経過を辿る必要はないわけでありますから、しっかりとした安心とネットをつくった上で改革を進めていくという両方の政策が、どうしても日本の場合は必要になってくるだろうと思います。
 いまの日本社会のポイントは、不安を解消してはじめて消費が回復していく点です。そのためには年金制度の確立と雇用問題がたいへん大事な課題だと思っています。
 我々民主党は、年金について言いますと、将来的に国民年金は全額税負担で、当面は今の3分の1を2分の1にしていくことをベースにしています。
 いま、もし自民党に代わる政権をつくるとするならば、大きな改革を一つでも二つでも行いたい。何でもかんでも全部やるというのは無理ですから、焦点をすえてやるべき。例えば民主党がいま政権をとるとすれば、年金を含めた社会保障改革と公共事業改革を徹底して行う。そのうえで雇用問題の、先程言ったような原則、あるいは年齢による差別禁止など、雇用確保のための政策をすることが必要ではないかと思っております。


「党内を驚かせた鳩山代表発言」

 国民が求めているのは何かというと、そういう生活についての要求・要望なわけです。国民がいま、憲法改正を政治や政党に求めているのではありません。このような状況のときの、鳩山代表の憲法に関する発言は非常に問題でございまして、党内はみんなびっくり仰天致しました。私もびっくり仰天しましたが、彼の発言の問題点は大きく言って四つあります。
 一つは、集団的自衛権の行使を憲法上可能なように憲法改正すべきだという点です。それからもう一つは、台湾海峡有事に際して、憲法があるからできないではなくて、日本はより具体的に何ができるのか、つまり米軍との協力を考えるべきだという点。それから三つ目は、東ティモールへ自衛隊を派遣すべきで、そのためのPKO5原則を変えるべきだという点。四つ目は、自衛隊は国軍として認めるべきだという点。これらのことを鳩山代表は発言されました。1人の政治家として、党の中に向かって、こういう議論をしようと呼びかけることは別に問題ではないと思いますが、代表という立場で、外(国民)に向かって党の方針と違うことを発言されたことで非常に大きな混乱をもたらしておりまして、私の事務所などにも電話やメールなどたくさん寄せられています。
 党の基本方針を申し上げますと、皆さんに渡した資料の中に、「党の理念」というのが一枚入っていたと思います。「私たちの基本理念」というところをめくって右側の方に、「外交安全保障についての基本政策」というのがありまして、その右側の下から二つ目に「防衛政策の諸原則」というのが書かれています。これは新しい民主党結党のときの大会で決定した大会決定事項であります。ここでは、「専守防衛に徹し、集団的自衛権を行使しないこと、非核3原則を守ること、海外における武力行使を行わないこと、文民統制を維持することなど戦後の防衛政策の諸原則を今後とも遵守する」ということを原則にしております。まず、これが基本的な我が党の立場であるということを理解して頂きたいと思います。
 それから非常に問題なのは、台湾海峡の話です。皆さんご承知のように、日中共同声明やあるいは日中の平和友好条約の中で、台湾は中国の領土の不可分の一つであるという中国政府の立場を日本政府が尊重します、理解しますということを明記しています。そして国会の質疑を通じて、台湾問題はある意味では中国の内政問題であるという立場で、日本政府は関与しませんとしています。ただ、統一といっても武力行使は困りますよということは、私も中国に行くたびに申し上げております。したがって、台湾の独立、台湾の国連加盟といったことは支持しないというのが、日本政府もアメリカ政府も基本的な立場になっています。それを前提にして考えますと、台湾で何かあって米軍が行動するときに、日本の自衛隊が一緒に行動するというのは、もう大変なことになるわけです。つまり中国と一戦交えるという話になってしまうわけでして、ちょっと考えられない、政治家としては考えられない軽率な発言だったというように思います。
 それからPKO5原則については、去年の代表選挙のときに菅さんはこの5原則を改正すべきだといったのです。そのときに私も鳩山さんも反対だと申し上げたのですが、この間、どうして考えを変えられたのか、その理由は全くおっしゃっておりません。さきがけのときも、旧民主党のときも、私どもの国際協力の基本は非軍事的な協力ということを、日本は重点にしてやっていきましょうと。国際協力もいろんな協力がたくさんあるわけだから、そのなかで日本は日本でできる選択をしていこうというのが基本的政策でございました。


「集団的自衛権と集団的安全保障の違い」

 それから、自衛隊を国軍として認めるということですが、いま憲法解釈でも、日本の国土を防衛する最小限の軍事力として自衛権を認め、自衛隊の存在も認めているわけです。この9条を改正して国軍として認めたときには、先程言いましたいろいろな原則、自衛権行使の要件でありますとか、非核3原則だとか、そういう戦後50年間積み重ねてきた原則が白紙に戻ってしまう。そして純粋軍事論で議論が始まり、専守防衛ではなくていわば軍事的な均衡論になり、抑止戦略になりますから、自衛隊ではなく軍隊という全く違った考え方になってしまいますので、そこも非常に大きな問題であります。
 自衛権についてですが、個別に自分の国が不正なる攻撃、急迫、攻撃を受けたとき、それに対して他に取る手段がないときに、必要最小限度の軍事力を行使するというのが自衛権の発動になります。
 集団的自衛権というのは、自分の国と密接な関係にある他国が武力攻撃を受けた場合に、攻撃を受けている国を助けて、共同して防衛にあたるというのが集団的自衛権の基本的な定義です。日本が今まで「集団的自衛権を行使しません」と言っているのは、前文や9条などの憲法上の解釈、日本の自衛隊は日本の国土が直接攻撃をされたときに、それを守るための、その攻撃を防ぐための組織であるとしているからです。
 国際連合の仕組みでいいますと、まず国際連合は戦争を禁止しているのです。これは国際社会のなかで不戦条約ができたときから、禁止の流れできています。国際連盟でも戦争は禁止だったのです。それが国際連合でより強く戦争を禁止するということになっています。
 国際連合憲章2条4項で、「すべての加盟国は、その国際関係によって武力による威嚇、または武力の行使を、いかなる国の領土保全または政治的独立に対するものの、また国際連合の目的と両立しない他のいかなる方法によるものも慎まなければならない」ということ、そして「すべての加盟国はその国際的紛争を平和的手段によって、国際の平和及び安全ならびに正義を危うくしないように解決しなければならない」としています。つまり日本国憲法9条と同じ規定をしているのです、国際連合憲章というのは。戦争を禁止しているのです。
 しかしその代わり、自衛のための武力行使だけは認めますというのは国連憲章51条なのです。あくまでも戦争は禁止なのです。攻撃をよその国がしたときに、それに対する自衛権の行使は認めていますと。しかもその自衛権の行使はどれだけの間認めているかというと、国際連合が措置をとるまでの間に限って認めますよと。国際連合は何か紛争があったときに常任理事国を含めて協議をします。協議には時間がかかりますから、その間、武力攻撃を受けていれば、それは自分の正当防衛と同じだと、我々個人が攻撃を受けたときにそれを跳ね返すのと同じように、国際連合が措置するまでの間は自衛権の行使を認めますとしています。
 そして同時に、自衛権の行使と一緒に、各国が協力して集団的な自衛権行使を認めますというのが国連憲章を成立する最後の段階で入ったのです。ですから、集団的自衛権、個別的自衛権というのは、あくまでも自衛権という話の範囲の中のことなのです。
 国際連合とはどういう組織かというと、世界各国が集まって、そこでルールを決めましょうと、そしてそのルールに反した国に対しては、他の国が一緒になってその国に制裁を加えましょうというものです。これは集団的安全保障なのです。集団的安全保障というのは元々敵がいる仕組みではないのです。敵はいないのです。敵も味方も一緒にみんな同じ組織を作って、一定のルールを作って、そのルールに反した国は、みんなで制裁をしましょうというルールが集団的安全保障なのです。これは国際連合の組織そのものが目指しているものです。
 それに対して、そのルールが発動されるまでの間に攻撃を受けた国は自分を守ることができますよということ、これは個別的自衛権ですね。またいくつかの国が攻撃をされる恐れのある場合に、連合して相手国あるいは相手国集団に対抗していこう、つまりある意味で仮想敵国を想定しているのが集団的自衛権です。ですから、集団的な自衛権ということと、集団的な安全保障ということは全く違いますので、そこをはっきり見て頂きたい。
 集団的自衛権をベースとした条約は、例えばNATO条約、ワルシャワ条約機構、あるいは米韓相互防衛条約、米比条約、アンザス条約というのがあります。この中でどんな規定になっているかというと、国によって違いますが、例えばアンザス条約というオーストラリア、ニュージーランドなどの条約では、各締約国は「太平洋地域におけるいずれかの締約国に対する武力攻撃が自分の平和と安全を危うくするものであると認めて、共通の危機に対処するように行動することを宣言する」としています。いずれかの締約国に対する武力攻撃とはどういうことかというと、それぞれの国の本国、あるいは太平洋にある同国の管轄下にある諸島、例えばアメリカで言いますとグアム島などの諸島、あるいは太平洋における同国の軍隊、航空機や船に対する交戦、武力攻撃を含むものとみなすとしています。
 アンザス条約によって、オーストラリアやニュージーランド本土に対する攻撃ばかりではなくて、太平洋上のそれぞれの国の軍艦に対する攻撃も自分に対する攻撃とみなして、集団的自衛権が発動されるという考えになるのです。ですから、もし日本が集団的自衛権を、このアンザス条約と同じような規定を、もし締結したとすればどうなるかといいますと、太平洋地域における米軍の艦艇に対してどこかの国が攻撃をすれば、日本の自衛権も発動して一緒に共同行動をとるということになるわけです。
 アメリカはフィリピンとの間に米比条約、韓国との間に米韓条約があります。日米で考えれば、日米安保条約が日米相互防衛条約に変わるわけです。そうすると、この条約に基づいて行動している米軍に対してどこかの国が攻撃をしてきた場合には、日本もそれに参加することになります。アンザス条約のような規定をすれば、太平洋地域における米軍の行動と全く一緒に行動することになりますから、もちろんベトナム戦争にも自衛隊が参加していたことになるわけです。米軍が行う戦争に日本が参加するというのが集団的自衛権行使の中身なのです。
 台湾海峡での米軍の行動についても、日本の自衛隊が一緒に行動することになれば、中国と戦争をするということになるわけで、先程の日中共同声明や日中共同宣言など含めて、鳩山代表はいったい何をお考えになって、こういう発言をしたのか、私には全く分かりません。
 集団的自衛権というのはもう冷戦時代の産物なのです。この集団的自衛権を使用した事例には、アメリカによるベトナム戦争とか、ソ連のハンガリー動乱、チェコ、アフガニスタンへの軍事介入があります。ハンガリーやチェコは外国から攻撃を受けたわけではないのですが、反政府デモが西側陣営と通じているというようなことを理由にして、集団的自衛権を発動してソ連軍を送ったわけです。それからベトナム戦争の場合も、きっかけになったのはトンキンワン事件ですが、これは当時の国防長官が回顧録で明らかにしているようにアメリカ軍の仕掛けだったわけで、北ベトナムの攻撃があったわけではなくて、アメリカが自分で攻撃をして、北ベトナムの攻撃だといってハノイに対する北爆を行ったのです。これも集団的自衛権行使のケースとしてあげられています。
 あとレバノン、ヨルダン、ドミニカ、チャド、これはフランスですけれども、ニカラグアのように、行なったのはだいたいアメリカとソ連が中心で、自分の国の利益というか、国益とまでもいえないような、要するに自分の都合でどんどん集団的自衛権の名のもとに介入しているのが、過去に集団的自衛権を発動した実態なのです。これはもう完全に過去のものだということを、みんなが認識しているのです。
 問題は集団的安全保障なのです。だから、あるいは鳩山さんはそこを間違えてお考えになって発言されたのかもしれませんが、しかし言っていることは集団的自衛権の話をされていましたので、これから日本が集団的自衛権を発動するような国家になっていくこと、21世紀の選択肢の中に、そんなことを入れるというのはとんでもない話でございます。


「PKO5原則は国連のPKO原則」

 これから問題になってくるのは国際協力です。国際協力のなかで、日本はPKO5原則というのがあります。このPKO5原則は日本独自の原則ではなく、国連PKOの原則なのです。国連PKOの歴史は非常に古く、第二次中東戦争ぐらいからあります。一番大々的にやったのは、スエズ運河危機のときですから、1956年ぐらいの話になります。そのころからもうすでにPKOと国際的な平和秩序の維持活動として出来上がっています。
 PKO原則の一つ目は「停戦の合意」です。国と国との戦争が終わった後の停戦状態ができたときに、その停戦を維持していくため監視するのがPKO活動です。
 例えばスエズ運河をエジプトが国有化したとき、それに対してイギリスがスエズ運河の自国の権益を守るために軍隊を派遣しました。それと同時にイスラエルがエジプトのシナイ半島に進駐したのがスエズ運河事件ですが、それが停戦状態になった後で、国連は国連軍を出して停戦監視を行いました。ですから、冷戦時代のPKOというのは、停戦を監視していく機能がかなり大きかったのです。
 二つ目は、国連が国連軍を派遣することについて紛争当事者が同意することです。
 三つ目は、派遣された側は中立であって敵は持たないということです。当たり前のことであります。
 それから四つ目は、停戦合意が崩れたりしたときには撤収することです。これは日本だけの原則だと思われている人もいますが、そうではなくて国連も同じ原則を持っています。
 そして五つ目が「武器の使用」です。この武器使用について国連と日本とで違うところが一つあります。自分を守るために武器を使用することは日本、国連どちらの原則も認められています。ところが国連PKOでもう一つ認めているのは、自分の任務を遂行することに妨害が加わったときに、その妨害を武器によって排除する力を国連PKOは与えています。日本の原則は、それは海外における武力行使になり、憲法9条による海外の紛争解決のための武力行使禁止に触れるということで、そこは禁止しています。そこのところの違いがあるだけです。
 しかし冷戦後はどういう紛争になってきたかというと、国と国との対立ではなく、国の中の問題が紛争の原因になって、周辺国に問題が起きてくる。例えば難民が大量に発生する、飢餓によって餓死する人間が出てくる、あるいはカンボジアのように大量殺害が行われるというようなときに、国連の一つの原則に「内政不干渉」があります。しかし、そういう状態をみんな放っていていいのだろうかとなります。そうすると、そういう内政問題にどう対処するか。例えばきちんと対応できる政府がないときには、政府をつくる支援をしなければならないのではないかと。紛争が続き停戦できないときには、国連が介入して何とか停戦できるような環境整備を行おうではないかという考え方にだんだんなっていったのです。
 しかし、ずいぶん失敗を繰り返してきました。一番大きい失敗の例がソマリアに対する国連の第二次派遣軍です。ソマリアでは、国連の救援を求めるグループと、それに反対するグループの二つのグループに分かれていました。ある程度停戦が整ったので国連は軍を派遣したのですが、国連軍とある一つのグループとの間に戦闘行動が起きまして、国連軍は中立で敵をつくってはいけないはずなのに、そのグループを敵にして戦闘になったわけです。その戦闘でアメリカ兵などが捕まり、引きずり回されるような映像が世界中に流れたので、アメリカは撤退を決め、この第二次ソマリア派遣は失敗してしまったのです。
 問題は、そういう内政の混乱の原因は何かというと、確かにかたちとしては民族間の紛争、部族間の紛争、宗教的な紛争ですけれども、一番大きな原因は貧困です。
 いま国連がPKOを出しているうちの99%は、そういう貧困が原因で生まれた一つの国の中の混乱なのです。ですから、軍隊を派遣しても、その混乱そのものを治めることにはなかなかなりません。原因を直さない限り治まらないのです。
 これからの国連PKOはどうしていったらいいのか。国によって事情は違うわけです。必要なことが全部違うわけです。もちろん、なかなか内戦が治まりつかないというときに、国連が軍事力を派遣して治めるということも必要なのかもしれませんが、そうすると、争っている二つの相手に武力行使してしまうということになりますので、そこまで国連がやる必要が本当にあるのだろうかと。
 やらなければいけないことは東ティモールの場合でもたくさんあります。東ティモールでは、選挙の監視から始まって、その独立に反対したグループが武力行使をするので、国連軍が派遣されました。国連軍はもう任務は終わったということで、いま平和維持軍になっています。そして今では国家の統治機構をつくる活動をしていますから、日本としての協力は、例えば警察官や行政のプロを派遣する、あるいは人道的な救援物資の輸送、必要であれば自衛隊を出すとか、それは別にPKO5原則に触れるわけでないのです。
 問題なのは、5原則をなくしてしまって、まだ戦闘が続いているようなところにどんどん自衛隊を派遣することが日本のやるべき国際協力なのかということです。いま日本は、例えば東ティモールには多額のお金も出していますし、民間人も派遣していますし、NGOも現地で活躍しています。これらのNGOに対しては、日本政府が支援をもっと徹底して行うなど、いろんな方法や手段がたくさんあります。
 国際協力の選択肢は何も軍事力だけではないのです。日本としてどういう協力をするのかは、単純にともかく自衛隊を派遣すればいいのだということにはならないと、私は思っております。
 いずれにしてもPKOのかたち、それぞれの国の紛争形態は違いがありますから、どういう協力をしたらいいのかは日本として原則をもって、その原則に基づいて判断をすればいいのではないのかと思っています。
 私は、個人的には本体業務の凍結を解除して構わない、その代わりPKO5原則はしっかり守るべきだという意見でございますが、いずれにしても、これからの国際協力と、それは一つの集団的な地域における安全をお互いが協力し合ってしていこうという仕組みの一つの形態なのです。これは集団的自衛権という話と全く問題の違う話なので、そこを間違えてはいけないというように思っております。


「議論してつくり上げてきた日本の原則」

 戦後50年間、議論してつくり上げてきた日本の原則というのは、まずベースとして、日本の国土が攻撃されたときに、他に方法がないときに必要最小限度の力として初めて使うのが自衛隊ということですから、この原則をしっかり守る。その原則の上に専守防衛という考え方があるわけです。
 普通の軍事論でいいますと、川の両岸みたいなもので、相手の軍事力が強くなればどうしても軍事均衡論でこっちも高めようという議論になります。そして各国の軍事関係者は必ず「相手の力は強い」と言うのです。「相手の力は弱い」と言えば、自国の軍事力増強にはなりません。一番いい例がソビエトです。ソビエトの驚異ということが何年前ですか、10年前か20年前にいわれました。戦闘機のバックファイヤーや空母ミンスクが脅威だとか。いま空母ミンスクがどうなっているか分かりますか。スクラップになっているのです。ソ連軍の実態を調べてみたら日本の防衛庁が宣伝したのと全然中身が違って、稼働率も2割を切っているような状態、飛行訓練するような燃料もない状態、もうほとんど今は軍隊としての体をなしていないという状況です。それがソ連軍の脅威として大いに宣伝されたわけです。
 北朝鮮のミサイル問題だって、せいぜい1発か2発、そんなものでしょう。もちろん核弾頭つけられて飛ばされたらかなりかないませんけれども、その開発まではされてないわけでして、そうすると、日本の保有しているミサイルの方がはるかに性能が良いのです。
 冷戦崩壊後、アメリカの軍事予算はGDP比で半分ぐらい大幅に削減されました。そこで軍事産業界は困っていた。ところが日本領空を飛び越えた北朝鮮のあの一発でNMD、つまりアメリカ本土防衛ミサイル網という新しい投資先ができたわけです。日本の軍事産業界もそれに協力するということで、一旦ぐーっと減らされた軍事予算が、これをきっかけにまた活発化することになった。
 こういう軍事の議論というのは、実態といってもなかなか分からなくて、これらの情報はどうしてもアメリカの情報に頼らざるを得ない。日本だってそうです。アメリカの情報に頼っているので中身がよく分からないまま、それに乗せられてしまったということがたくさんあります。今になってソビエト極東軍といわれるもののデータを見てみると、張り子の虎だったことがはっきり分かります。アメリカの情報に乗せられて、ソ連軍が北海道の稚内に上陸するだとか、音威子府までは占領するだとか、そんな本が本屋にたくさん並んで、みんなが買ってよく売れたという時代がありました。
 そういうことを私どもは繰り返してはいけないわけです。冷戦の崩壊後、日本の安全保障の中で一番大きいのは、朝鮮半島の平和問題、北朝鮮との国交回復を一日も早く実現をすることです。韓国も努力している、中国も努力している、アメリカでさえ大いなる努力をしているときに、日本政府だけが何もしないでアメリカに言われるままにお金を出したりお米を出したりしているという、この情けない姿を早く変えていかなくてはならないだろうと思っています。


「民主党を分かりやすい、対比できる政党に」

 さて、憲法は国会の憲法調査会が5年間の期間でもって議論しますが、うちの党もそういう議論をしようということで、先日は五つの分科会、作業部会をつくりました。
 私は鳩山代表に今年(2000年)8月、代表選挙前に2時間ほどいろいろお話をしまして、そのときに、憲法調査会は5年間かけて議論することが決まった、我が党は論憲で議論しようという立場だから、それは徹底してやりましょうと。しかしこの問題は、国民が本当にいまやれと求めているわけでもないし、我々がやろうとしている改革は憲法改正しなければできないものはほとんどない、首相公選制を導入するというならば別ですけれども、あとはほとんど法律で何でもできますと。だから憲法問題に関しては慎重にしてほしいとお話ししました。
 ご本人も「分かった」と言っていましたが、代表に就任した途端に、本当にどこに向かって走っていくのか分からないような、次から次へと発言を繰り返しました。党代表として一番大事なのは党を結束してまとめることですが、党内はこれをきっかけにバラバラになりかねなかった。この政局ですから、今はみんなまとまっていますけれども、しかしこの前の発言は本当に残念だったと思っています。
 もともと民主党というのは幅の広い政党です、それはいいのです。どこかの政党のように、誰かが決めればみんなが右だったら右、左だったら左に行くという政党は、政権を取ったときにそういう国になってしまいますから、やはり幅の広さは政党にとって非常に大事だと思います。
 ただ、一本しっかりとした筋がないといけないわけで、よく自民党と民主党はどこが違うのと聞かれますけれども、それに対する答えをしっかり出していかないといけません。私が先ほど申し上げたような政策を掲げれば、これは自民党と違う政策だとはっきりすると思います。
 ゴアとブッシュによるアメリカ大統領選のときは本当にはっきりしています。誰のために政治をやるのかということについて、ゴアは「我々は勤労者と勤労者の家族のための政治をやる。金持ちのための政治じゃない。一生懸命朝から晩まで働いて汗水流している人のために政治をやるのだ」という政策を掲げ、一方ブッシュはもっぱら「金持ちのためだ」と言っていた。そこが政策論争になったのでしょう。つまり大幅な財政黒字をどう使うかということです。そういうわかりやすい、対比のできる政党に民主党をしていかないといけないと思っています。
 みなさんも地方議会の中でいろんな課題がたくさんあると思います。党内でも政策について非常に活発に議論していまして、いろんな資料がたくさんございます。私どもはほとんど毎日、勉強会を朝8時からやっていまして、面白い資料もありますし、地方議会で使えるものもたくさん持っています。それらは民主党のホームページで拾うこともできますし、本当は道本部の政策審議会の仕事なのですが、そこが情報や資料を収集して、もっと皆さんに情報提供することが大事です。また皆さんからこういう情報がほしいということを私どもにおっしゃっていただければ、いくらでもご協力いたします。
 そういうことで、密度の濃い活動を国政・道政・市政、それぞれのレベルで行うことによって、民主党に対する期待にしっかりと応えていかなければいけないと、このように思っております。いずれにしても月曜日、政局が非常に大きく動きます。解散の可能性が非常に強くあると思っておりますので、この機会に北海道における自民党を壊滅させるという勢いで頑張っていこうではありませんか。
 だいたい時間になりましたので、私のお話しを終わりにさせていただきます。

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