日本を戦争をする国にしてはならない

 

 皆さんこんにちは、横路孝弘です。
 国会は6月22日までとなりましたが、先日の安倍総理の安保法制懇の報告を受けての会見をテレビなどでご覧になりましたでしょうか。会見で言っていることのほとんどは具体性のない、具体的に起こることのありえないような話なんですね。
 いくつか具体的に挙げて何が問題かお話ししたいと思いますが、ひとつはまずアメリカに飛んでいくミサイルを撃ち落とすということ。朝鮮有事、朝鮮半島で戦争が起きた時に、爆撃をするアメリカの空軍機に給油をする、アメリカの艦艇に給油をするということ。武器を北朝鮮に運ぶ船舶の臨検を行うということ。中東までのシーレーンに戦闘が行われたときに敷設された機雷の除去を戦闘中であるにもかかわらず日本がそれを行うということ。それから邦人救出、日本人を乗せて逃げてくるアメリカの輸送艦を護衛すること。国籍不明の潜水艦が日本の領海内に入ってきてなかなか出ていかない、この時どうするか。こういうような事例が挙げられました。

 いずれもどういうことかというと、戦争が起きているという状態なのです。アメリカに対してミサイルを撃ち込むような国はないと思いますけれども、それは要するにそのミサイルを日本が迎撃したら、相手の国から見れば日本は敵になるんです。朝鮮有事の時に空爆をするためのアメリカの飛行機に給油するということも、給油をした瞬間に日本はその国から見ると敵国になるんです。武器を運ぶ船を臨検することもそうです。シーレーンで戦闘中の機雷の除去を行うということもみんなそうです。だからこの全体の想定は戦争が起きているということが前提なんです。

 そして日本がこういう協力をするということは、その戦争に参加するということになります。積極的に参加するということになるんです。そうすると相手の国から見ればそれは敵だということになりますから、相手の国から攻撃されることにつながります。日本列島にミサイルが飛んでくるかもしれないのです。もし東京や大阪に近い原発にミサイルが1発でも打ちこまれたら日本はどうなりますか。そういうことを安倍さんは全然考えない。
 安倍さんは戦争に参加することではないと言ったけれども、冗談じゃない。想定している事態がすべて戦争で、しかもそれは日本が積極的に加担するということなんですから、戦争に参加することそのものなんですよ。
 戦争を起こす危険性があるのもあります。たとえば国籍不明の潜水艦が来た時にどうするか。その時自衛隊はその潜水艦の真上から爆弾を落とすというんですね。それは潜水艦のそばに爆弾を落として潜水艦を追い出すというわけです。でももしその爆弾が潜水艦に直撃したらどうなるか。これは戦争が始まるということではないでしょうか。

 それからおじいさんや子供、孫が一緒にいる絵があって、それら邦人を救出するアメリカの艦艇に対して攻撃する国があったらそれを防がなきゃいけないという説明がありましたが、アメリカはまずアメリカ人を第一に救出するでしょう。それ以上に艦艇に民間人を乗せて救出するということはあり得ないのです。なぜかと言えば、艦艇というのは一番危ないんですから。戦争しているときに、相手の国の艦艇から攻撃を受ける危険性があるわけですから、そういう艦艇に民間人を乗せて救出するということがそもそもあり得ないんですね。しかも今はテロリストがその中に紛れ込んでいるかもしれない、そんな人間を救出と称して船に乗せて自爆テロでもされたら大変ですから、そんなことあり得ない話なんですよ。
 前に朝鮮有事で日本はどうするかと、韓国にいる邦人3万人をどう救出するかということの計画を立てていまして、戦争になる前に約2万人以上出国、脱出するでしょうと。あとの1万人は商船をチャーターして救出するんだという計画を立てたことがありますけれども、安倍さんが想定した話というのは、現実では起こりえない、そして潜水艦への爆撃のように起こった場合は戦争になってしまう、他の状況はみんな戦争を想定した事態です。

 本当にこれはもうひどい話でして、戦後我々が永々として憲法9条のもとで戦争はやりませんよ、日本は経済大国になっても軍事大国にはなりませんよと言って、専守防衛ということをひとつのメインにして、そして世界各国に対するODAなどの支援・救援活動をやってきたではありませんか。そうしてつくられた日本に対する良い評価やイメージをいまこうして変えてしまうと。
 アメリカは喜んでいますよ。アメリカ海軍の司令官が記者会見して、日本の自衛隊が参加してくれるなら最初からいろんな計画の中に組み込んで一緒にやりましょうと言ってますよ。そうするとこれはもう、アメリカが世界の保安官だとすれば、日本は保安官の助手になるということで、日本はアメリカの言うがままということになるわけです。
 シーレーンで戦闘中に機雷を除去するということもあり得ない話なんですね。戦争でもし機雷が敷設されたら、停戦になってから初めて機雷を除去するというのが常識です。戦闘中に機雷除去に行けば攻撃されてしまうのです。しかもシーレーンで何を考えているかというと、いまベトナムやマレーシア、フィリピンなどが中国と紛争している、こういう国の紛争を想定して、しかもそこに戦闘が行われたときに機雷の除去に日本の海上自衛隊が行くというこういう話です。

 もう全くもってこういう想定はいずれも現実性のない、観念的な話で、要するに世界の紛争に自衛隊を出したいという安倍さんの思い、それが安倍さんの言う積極的平和主義の中身なのです。非常に問題です。これは国民の声を大きくして結集して潰していかなければいけません。


   2014年 5月 26日

横 路  孝 弘