年金、雇用、医療、保育〜今国会における成果と原発問題

 

 皆さんこんにちは、横路孝弘です。
 8月10日に参議院でいわゆる「社会保障と税の一体改革」の法案が成立いたしました。
 国民の皆さんに新たに税の負担を求める、つまり2014年から8%、翌年10%ということで負担が増えるわけでございますが、しかし、そのことによって社会保障制度の充実ということに向けて一歩も二歩も前進することになるのです。

 まずひとつは、基礎年金の国庫負担2分の1の恒久化が実現いたしました。
 これはもともと自公政権時代に、そのために消費税を上げるという法案が成立していたわけでございますが、今回2分の1が恒久化します。

 パートなど非正規社員に厚生年金を適用するということも、経済界などの反対で範囲は縮小されましたけれども、しかし制度ができたということで、今後これを拡大していくということはできると思います。

 低所得者の人に給付金を払うこと。特に障がい者の方々、1級の方が月6,250円、2級の方が月5,000円増額。そして低所得者の年金の受給者の方も月5,000円上がります。両方合わせて対象になるのはだいたい690万人ということであります。

 産休中の女性の厚生年金の保険料が免除されたり、国民年金に加入している自営業やパート労働の女性の皆さんの産前産後の保険料も免除するということなども法案に盛り込まれております。

 医療介護の分野では、国民健康保険の保険料の軽減をしていこうと、その拡充のために1兆4千億円使われるということでありますし、高額療養費の見直しで、これもいまガンなどの高額療養費が場合によっては何百万円とかかるようなものもあるわけですが、それを日本の場合は所得に応じてグッと低く抑えています。それをさらに今よりもちょっと高い所得のところも対象にしていこうということでございまして、これは非常にみんなが喜ぶことのできる制度だと思います。

 認定子ども園の量的質的な拡充に7千億円プラス3千億円ということで1兆円が子どものために使われることになりまして、これによって保育所の利用率もいまの27%から44%に上がるというようにいわれています。
 幼稚園は文部科学省、保育所は厚生労働省と分かれて煩雑になっていた手続きを内閣府に一本化して是正することになりました。
 保育所の新設も人員や面積などの基準を満たしていれば自治体は認可しなければならない仕組みに変えました。今までは自治体は財政が厳しいからといって認可しなかったことを、それを認可しなければいけませんよということになりました。
 また定員20人以下の小規模保育所への助成制度も創設され、地域の特性に合わせた小規模の保育、事業所内保育、家庭内保育に企業やNPOの参入も認められました。

 このように、今度の社会保障と税の一体改革の中で前進し実現した政策分野がいくつもあるということをぜひご理解いただければと思っております。

 原発事故についてですが、国会の事故調査委員会が大変いい報告書を出しました。
 ひとつは、「事故はまだ終わっていない」ということ。
 今でも大量の放射性物質が排出されているという状況にあるんです。これはなかなか大変でございまして、いまは福島第一原発1号機、2号機、3号機を石棺でグルッと固めてしまわなければいけないくらいに水が漏れて地下水と一緒になって海中に出ているという話もございます。

 それからもうひとつは、「人災であった」ということ。
 結局は電力会社、それらをまとめる電事連、それから経済産業省、原子力安全保安院、それから原子力安全委員会、こういったものが一緒になって、規制する側が規制される側の虜になってしまったということで、具体的にいろんなケースを挙げています。
 たとえば原発の安全対策において「5層の防御」が国際的な基準であるにもかかわらず、日本は3層までしかやらず、4層5層はやらなかったんですね。「4層」というのは事故が起きたときにその危険をどのように低減するかということ、「5層」は事故が起きたときにどうやって住民の皆さんを避難させるかという話なんですが、日本は「事故は起きない」ということで、これを全然やっていませんでした。そのことを原子力保安院も認め、電力会社もそうだったんですね。だから事故が起きて、何をやるべきかわからなくて混乱をしたということでございます。

 こういう点を私は野田総理と枝野大臣、細野大臣に、ちゃんと調査して、それが事実か事実でないのか、それから間違った指導をした人たちの責任をきちんとはっきりさせろということを申し入れいたしました。

 いずれにしても大変な事態になったわけでございますが、こうした中で、まだまだやるべきことがたくさん残っています。赤字国債発行法案を成立させなければ10月から予算執行できません。
 こういう問題の処理など、残りの国会会期中、努力をしていきたいと思っています。
 ありがとうございました。

   2012年 8月 11日

横 路  孝 弘