国民生活のための国会論議を

 

 皆さん明けましておめでとうございます、横路孝弘です。
 一年経つのは本当に早いですね。また新しい年がやって参りました。

 昨年2010年は日本に議会が開かれて120年ということで、いろいろな記念行事が開かれました。
 この120年のうち63年間議員をして、民主的な政治の発展のために努力された方がおられます。「憲政の父」と言われている尾崎行雄さん、「尾崎咢堂」でございます。
 その尾崎咢堂が新しい日本国憲法の施行を控えた昭和22年に、立憲政治によって開かれた議会は、打ち解けて国家全体のために懇談熟議する場所だと、お互い譲って力を合わせて国家全体の利益を図らなければいけないと述べています。
 これはいつの時代でも基本とすべき議会の本質なんです。

 しかし、昨年の参議院選挙の結果、衆議院と参議院で多数派が変わってしまった。こういう時こそ与野党の壁を越えて、国会議員全員が知恵を出し合って、国民生活にとって大事なことに対処する自主的な議論をしっかりしていくことが必要なわけです。
 去年は臨時国会で4兆4千億円の補正予算が成立しましたけれども、朝日新聞にこんな川柳が載っていました。「質問と書き『ののしる』とルビをふる」「予算など、さしたる討議無く決まり」。国民の皆さんの目にはこのように映ったのですね。本当に充分な政策論争が行われずに、大変残念な国会だったと思います。

 新しい年、日本の中でもたくさんの課題、問題があります。雇用の問題もありますし、社会保障の問題もあります。雇用、社会保障の問題について、国民的な合意が必要ですから、各党が参加して議論する場所が必要なのです。
 前に年金問題について衆議院と参議院で決議をして、衆参合同の協議会をつくって年金の議論をしたことがあります。
 私は医療や年金、介護、障がい者福祉、それから特に子どもの問題や求職者支援つまり雇用問題ですね、こういう問題を合同で議論しなければいけないと思っています。
 特に年収の低い人には支援が必要ですし、高額所得者の人には力に応じて負担をしていただかなければならないと思います。
 いずれにしても、各党で十分議論することが大事なわけですが、いま民主党の中も残念ながらガタガタゴタゴタしています。本当に情けないことです。

 そしてまた、参議院で問責決議案が可決されたということで、野党の皆さんは、もうこの問題、つまり問責決議を受けた官房長官などが辞めなければ審議に入らないということを言っておられます。
 衆議院では不信任決議案が否決されて「信任」されたわけです。問責決議は参議院で行われたことです。しかも国会は一国会ごとなんです。臨時国会は臨時国会なんです。参議院の問責決議というのは参議院としての意思表示です。
 衆議院の場合、問責に値するというのは不信任ですが、これは可決すると総理大臣は解散するか総辞職しなければいけないんです。そのように決まっていますが、参議院の決議は別に決まっているわけではありません。

 日本の国会は二院制ですが、衆議院に優位性が認められていまして、総理大臣の指名も衆議院と参議院で違ったときは衆議院、予算や条約も衆議院で可決して1ヶ月経てば自然成立する、法律も参議院で否決されても衆議院で3分の2の賛成多数があれば衆議院の意思が通るという仕組みになっているのが日本の議会制度、議会制民主主義の基本なんです。
 ですから、悪い前例を積み重ねていくことはやはり避けなければいけないと思います。前に額賀防衛庁長官に対して民主党が問責決議案を出して可決して、審議拒否をしたことがあります。ですから、こうした前例がひとつあるんですね。その後の福田総理の問責決議の時には審議拒否しないで審議に参加して議論するということを方針として決めたところです。

 いずれにしてもたくさんの課題があるときに、党利党略や個人の思いを優先させて、本当に大事な国のこと、日本の国が抱えている最大の問題を横において論争を繰り広げる、ケンカをしているという状態は本当に恥ずかしい話でございます。
 この新しい年、何とか国会が始まる中で、私も参議院の議長さんと相談しながら、うまく国会運営ができますように努力していきたいと思っております。何とかみんなで協力し合ってというように思っています。
 今年もまたいろんなことが起こる1年になりそうでございますが、しっかり頑張って参ります。ありがとうございました。


   2011年 1月 1日

横 路  孝 弘