平城遷都1300年記念式典に出席して

 

 皆さんこんにちは、横路孝弘です。
 10月6日から国会が始まり、論戦が行われる時期になりました。これから補正予算が提出されますが、それが今国会の一番の審議の中心になると思われます。
 今、日本の経済が厳しいのは何かというと、需要と供給のバランスがとれていないからです。大体20兆から25兆円くらいの需要が足りないといわれています。
 こういう時、従来は公共事業で需要をつくることで波及効果がありましたが、最近の政府の産業連関表を使った調査によりますと、公共事業の効果は非常に落ちています。
 そのために、政府は金融政策で金融緩和を行いました。ただ金融緩和で景気対策といってもお金がジャブジャブあって、そのお金がどこに向かうかというと、バブルのときのように株の購入や土地の投機などに行けば、バブル経済になって本当の経済対策になりません。

 今一番問題なのは、需要がどこにあるのかということです。潜在的に需要が大きいのは、保育とか教育、医療、介護などであるとはっきりしています。特に国際的比較をしてみても、例えば教育に対する日本の投資は、OECD加盟国で一番低い位置にあります。医療や介護においても沢山の問題を抱えていることは明らかになっています。
 こういう潜在的な需要を掘り起こす、そのためにはそこにお金を投資していかなければならない。そういうことが今のサービス産業を中心とした経済状況にある日本においては、景気回復としては、やはり大きな効果を持つものだと思います。
 例えば、公共事業に対して注ぐお金と介護に対して注ぐお金を同額投入にした場合に、介護に対する投資のほうが雇用吸収力は2.5倍にもなるといわれています。
 雇用が増えれば、その人にお金が払われて、お金が回っていくということになっていきます。こういうことが内需の政策としては一番大事なことと思います。
 もう一つ、日本はエネルギーや食料などのために外貨を稼がなければいけませんから、輸出産業をきちんと育てることが必要となります。特に問題なのは何かといいますと、日本として勝負のできる、そういう分野について輸出を広めていかなければならないということです。

 先日、ヨルダンの首相が来日して懇談しましたが、ヨルダン国として大きなプロジェクトを考えているそうです。一つは水で、海水を淡水化する政策。もう一つは鉄道網が弱いのでしっかりした鉄道網の整備。それから再生エネルギーで、太陽光とか風力発電といった分野への投資をしたいので、日本に協力してほしいという話でした。
 この分野はいずれも日本にとっては強い分野です。安全性も高く、技術も進んでおり、やはりこういう分野をしっかり伸ばしていくことが大事であり、それが新しい戦略産業を作ろうという動きにもなってきています。
 それと同時に日本が今まで苦労してきている、例えば福祉施設の運営のノウハウとか上下水道の管理などのノウハウの提供といったような強い分野が多数ありますので、円高により、海外への投資や企業買収などがやりやすくなっており、従来以上に力を持つことができるので、しっかりやっていかなければなりません。
 先ほど言った、保育とか教育、医療、介護などはお金がかかりますから、その負担をどうするかということもあわせて議論をしっかりしていかなければならないと思っています。

 先日、平城遷都1300年記念式典に出席しましたが、710年に奈良市に平城京が置かれてからちょうど1300年を経過しました。式典を観てビックリしましたが、例えば、当時の服装をした文官、武官、女官は出て、踊りとか歌を歌ったりしているのを観ると、韓国、中国の影響が非常に強いことを感じました。
 天皇陛下が出席されまして、そのお言葉の中で「奈良は私の父祖の地である」と話され、「当時の光仁天皇の奥さんは、百済から来た武寧王の子孫で、その子供は桓武天皇である」という話をされて、日本と韓国のゆかりの深さを非常に詳しくお話されました。
 また、平城京の時代というのは、我が国の古代の歴史を知る古事記や日本書紀が編纂され、また地誌風土記や万葉集も編纂され、仏教とか論語が渡ってきたという意味では、日本の国としての体制が整い始めた最初の時代ではないかと思い、大変興味深い平城遷都1300年記念式典でした。


   2010年 10月 18日

横 路  孝 弘