賃金向上で日本の社会を立て直そう!

 

 今日は10月7日ですが、アメリカの株価が1万ドルを切りました。日本の株価も1万円を切りましたね。株安が広がっています。世界中で株が安くなっています。世界経済は本当にいま冷え込んでいるといっていいと思います。

 アメリカの実体経済が非常に悪くなっています。そのことが日本にとってどんな具合になるかといいますと、輸出が減るんですね。日本からアメリカやヨーロッパへの輸出が減っています。26年ぶりに貿易収支が赤字になったんです。
 このように株安が進んでいきますと、企業は設備投資を控えたり、設備投資したくても金融機関は融資に慎重になるんですね。したがってお金がだんだん回らなくなるわけです。
 ヨーロッパの金融市場も混乱していまして、銀行間で資金を融通しあう短期金融市場というのがあるんですが、その機能が完全にマヒしてしまっています。
 日本でもこうした株安が続いて輸出が減り、そして設備投資や金融機関の融資は慎重になる。庶民は消費を、そうでなくても収入が上がらずに物価が上がって負担が増えて大変なのに、ますます慎重になって消費を抑えて、生活防衛をしっかりしなければいけないと、みんながそうなっていくわけですね。
 そうしますと企業も倒産が増えて、働いている人の失業も増えていきます。そんな悪い循環に今の日本経済は入りつつあるのです。

 そこで何をしなければいけないかというと、日本の経済成長を支えてきたのは6割が輸出なんですが今はもうなくなりつつある。だから内需ですね、国内の経済を、国内でどうやって盛り上げていくのか、国内経済の6割以上を占めている個人消費をどのように拡大するのかということが大変大きな問題になります。
 消費が冷え込んでいるのは、収入が増えないで物価が上がって負担が増えているからなんですね。したがってその収入をどうするかということが基本になります。

 小泉さんが政権をとって最初にやったことが「労働ビッグバン」といいまして、労働市場の自由化を進めたわけです。その結果、パートとか派遣とか契約社員というものが非常に増えて、いま非正規社員と言われている人が37.2%、働いている人の4割がもう正規社員ではなくて、臨時の不安定な低収入の労働に変わってしまったんですね。
 それで大企業はものすごく利益を上げています。2007年度の東証一部上場企業の決算では25兆2千億円も利益を上げましたが、半分は株主への配当に回り、あとは役員賞与が倍になって、働いている人の給料や、自分たちが協力してもらっている下請け企業や協力企業はコストが上がって大変なのに、価格を抑えるということで利益配分は行われていないんです。こういうような状況がずっと続いています。
 派遣社員なども、ヨーロッパやアメリカではだいたい通訳とか専門技術を持っている人がちょっと休んだりいなくなったから何日間かお願いするという感じなんですね。
 ところがいま日本で行われているのは、正規労働の代替労働として、派遣や契約、パートが非常に大きく増えていって、パート労働している人だって正規社員と全く同じような責任を持って仕事をしている人がたくさんいるわけですね。

 そこで私ども民主党が考えているのは、ひとつはまず正規社員と同じように仕事をしている人は、フルタイム労働と同じように賃金や社会保険の適用で差別を受けないということ。
 それからもうひとつは、やはり最低賃金を引き上げなければなりません。いま全国平均が703円で、北海道は667円ですけれども、それを1000円に引き上げると、パートで働いている人の80%の給与が改善されて、全体で2兆2千億円所得が増えます。

 しかしこれは逆に言うと企業の負担がそれだけ増えるということになります。ですからお店や商店など中小企業の皆さんからは「それはもう勘弁してくれ」とか、「今でさえ厳しいのに、さらに厳しくて、とてもそんな時給1000円など払えない」という声が非常にたくさんあることは充分承知しています。
 しかしそうやって時間給を上げると消費が増えるんですね。お金が地域で回わるんです。2兆2千億円がそのまま全部消費に回れば5兆円を超える消費拡大につながっていくんです。
 ですからちょっと厳しいところを乗り越えていけば、消費になって企業に利益として戻ってくるんですね。そういう政策をやはりどこでみんなでやらなければいけないと思います。
 その代わり中小企業には支援をしっかりしようというので、特に運転資金ですね、「特別信用保証制度」というのを、これは前にもお話しましたけれども、銀行が貸したお金の100%全額を国が保証するという制度でして、こういう制度を導入することによって、中小企業への支援をしっかり行いながら、何とか消費拡大で世の中にお金がまわるような仕組みをしっかりつくっていきたいと思っております。

 いずれにしても、「労働ビッグバン」という小泉さんがやった政策の結果、たとえば経済界からは時間外労働に割増賃金を払うのをやめてタダにしようというような突然そんな提案までされるような時代になっています。
 やはり小泉構造改革というものの負の側面を私どもは一掃していかなければいけないと思っています。
 何といっても、働く仕事があって、その仕事を一生懸命やれば、その収入で生活ができるという日本の社会につくり変えていこうではありませんか。

   2008年10月7日

横 路  孝 弘