安倍政権の2大問題〜「雇用環境の改悪」と「戦前回帰の防衛省」〜

 

 皆さん明けましておめでとうございます、横路孝弘です。雪のないお正月になりましたが、いかがお過ごしでしょうか。
 国会は1月25日から開会されることになりました。安倍政権が誕生して3ヶ月ですが、もういろんな問題点が国民の皆さんの前に明らかにされてきたと思います。

 いま非常に大きな問題は、やはり雇用をめぐる問題です。経済財政諮問会議というのがありまして、ここが行政官庁と関係なしに安倍さんの考え方に基づいた政策方針を出していくんですが、そのメンバーである経済学者の八代尚宏さんという方が、「正社員と非正規社員の格差を是正するために、正社員の待遇を非正規の水準へ下げる」ということを提案しています。
 これなどは今の現実を全く無視した暴論としか言いようがないですね。最近雇用が改善されたといっても、増えているのはパートや非正規社員ばかりです。そして非正規社員の4割は月収が10万円以下なんですね。雇用のうちの非正規社員はもう4割なんですよ。その人々のうちの40%は月収10万円以下。パート労働の方の半分がやはり月収10万円以下です。
 こんな状況で家族を養ったり、子どもに必要な教育を受けさせることなどできません。しかしこれをやろうとしているわけです。

 もうひとつは、「ホワイト・カラー・エグゼンプション」という、なんか訳の分からない英語がこのごろ新聞で報道されますが、これはどういうことかといいますと、残業しても、1日24時間働いても、休日に働いても、夜中に働いても、雇用者は残業手当を払わないで済むという、タダ働きと過労死を誘発するような政策なんですね。これをいま経団連が主張しています。このふたつの点を主張しているんですね。
 30代のサラリーマンのすでに3割弱は1日12時間以上の労働です。
 いま子どもを巡るいろんなことが報道されていますけれども、だいたいこんな状態で親子のコミュニケーションが成り立つのかと。こんな低賃金、こんな残業ではとても家族と共に過ごす時間はございません。

 経団連のトップは何を考えているのか。非常に短期的で、自分の利益だけを考えているんですね。だからいま戦後最長の景気回復だと言われながら実感がないのはなぜかといいますと、以前の景気回復局面とものすごく違う点があるんですね。それは以前の景気回復局面ですと、利益が出たらその利益を社会にも従業員にも株主にも返していたわけですよ。ところが今は、株主配当と役員報酬に利益が配分されて、従業員の人たちは依然としてマイナス給与という状態がもう7年以上続いているんですね。景気回復の実感がないと、消費が伸びませんから、こんな収入では。ですから結局自分たちの足を引っ張ることになっているのにもかかわらず、短期的な自分たちの利益を追求する、誠に情けない経済団体のトップでございます。

 もうひとつの大きな問題は、昨年の臨時国会で防衛庁が防衛省に昇格しました。私が反対したのはどうしてかといいますと、自民党はすでに国連決議や国際機関の要請がなくても、自衛隊をいつでもどこでも海外に出せるようにするという法案を準備しているんですね。そして特にそれに加えて、武器使用を緩和して、例えばアメリカに向かって飛んでいくミサイルを日本の自衛隊が迎撃することも可能にしようと、これが防衛庁の防衛省昇格法案の中の非常に中核の部分なんですね。つまり海外派遣を本来任務に格上げしたということはものすごく大きなわけですよ。
 だから今度の米軍再編の中で、アメリカ統合作戦司令部というのが神奈川県のキャンプ座間に移ってきます。これはアジア太平洋からインド洋、中東地域のアメリカ陸海空軍の作戦を考えるところなんですね。ここに陸上自衛隊の中央即応集団、これは海外派遣の司令塔になるところで、空挺部隊、落下傘部隊、それから特殊部隊、ヘリ戦団、特殊防護部隊、この5つからなる部隊の司令塔をこのアメリカ統合作戦司令部の中に置くんですよ。こんなことがもうずっと進められているということで、本当にもう、戦前歩んできた道を歩もうとしているというしか言いようがないですね。

 私も『硫黄島からの手紙』という映画を拝見しましたけれども、戦争は本当にいかに虚しいものか、敵も味方もないという姿を知ることができます。あの硫黄島では日本の兵隊2万4千人が亡くなっているんですよ。しかし遺骨が回収されたのはわずか1万2千ですよ。半分はまだ眠っているんですよ。しかも眠っている上に滑走路を作って、アメリカ軍と自衛隊が使っているんですよ。こんな国は世界中にありません。

 今年は憲法が実施されてから60年という本当に大事な年であります。将来の長期的なことを考えながら、私たちの孫たちに安心して渡すことができる社会を一緒につくって行こうではありませんか。ありがとうございました。

   2007年1月6日

横 路  孝 弘