戦前戦中の日本に回帰しようとしている安倍さん
〜国のために命を捧げる特攻隊のような国が美しい国なのか〜

 

 皆さんこんにちは、横路孝弘です。
 9月26日から臨時国会が開会されることになりました。自民党の総裁は安倍さんに決まったわけですが、これからはいま日本の抱えているたくさんの課題、小泉政権の5年間を総括すること、そして国民生活上の、あるいは社会的な諸問題の解決をしっかり行うことが大事だと思っております。

 私は9月上旬に中国の広州へ行って参りました。広州に行った目的は、日本軍が61年前に遺棄した化学弾、この化学弾はいま40万発くらい中国にあるだろうといわれていますが、広州の漁村地域で漁民が網を引っ張っているときに化学弾、マスタード弾ですが、発見されまして、それがまだどのくらいあるのか検討がつかないということです。何発かは確認しているわけでございますが、非常に危険だということで、いま中国軍の下に管理されているその状況を調べて参りました。

 もう61年前のことになりますが、日本は化学兵器を700万発製造したんですね。そして中国に持って行ってそれを使って、戦争で負けて逃げて帰ってくるときに埋めたり捨てたりしてきたんですね。
 広州というのは香港のすぐそばですけれども、多分船で逃げるときに川の中に投げ捨てたんですね。それが今になって被害を与えているということでございます。
 これは国際条約によって、化学兵器を使い、そして残してきた国は、その国の責任においてそれを処理しなければならないと決められています。つまり日本の責任において処理しなければならないわけでありまして、日本も作業に取り掛かっているところでございますが、一体どこにどれくらいあるのかわからない。ほぼ中国全土にわたっております。
 いま中国も開発が進んでいますから、高速道路を作ろうといって掘っていったら化学弾が2000発見つかったとか、そんな話でございまして、大変重要な問題です。
 特にマスタード弾などは今でも漏れて亡くなったりケガしたりしているわけでございまして、事故などが起きて日中関係がさらに悪化しないようにしっかりやらなければいけないなということを痛感して帰って参りました。61年経っても、まだ戦争の処理は終わっていないということだと思います。

 安倍さんは『美しい国へ』という本を出されております。安倍さんがどういう日本を美しい国と言っているのかはわかりませんけれども、ただ非常に気になるのは、特攻隊員を非常に賛美しているような点です。特攻で亡くなった方々はだいたい1万人くらいおるわけでございます。
 問題は、小泉さんもそうなんですが、その特攻隊というようなことに戦争で追いやった、そういう戦争指導者の責任とか、国家の責任というようなことには触れないで、ただ国のために死ぬという若者は美しいということを述べているだけなんですね。
 国のために命を捧げる特攻隊のような国が美しい国だというのでは大変なことでございまして、戦前の日本の考え方と全く変わりないということになるわけです。

 本当に大事なことは、アジア外交、国連外交、アメリカ外交のバランスが非常に大事なわけです。特にいま悪化している中国や韓国との関係回復ということが新しく総裁になった安倍さんの大きな仕事だと思っていますが、ブレーンの人たちは新しい歴史教科書をつくる会のような人たちが中心になっていますので、どうなりますか。

 この臨時国会の論議をしっかり皆さん方にも注目していただきたいと思いますし、国会は議論する場でありますから、充分議論をしていきたい。教育基本法の改正とか共謀罪とか、あるいは憲法改正の国民投票法案など前の国会から持ち越しの重要な問題がたくさんありますし、同時に骨太方針の中でまた社会保障の大幅なカットや、あるいは介護保険や医療費の負担増といったような問題なども含まれております。
 この骨太方針のしっかりした議論と、3兆円といわれている在日米軍再編の費用、これもお金ばかりではなくて中身が非常に問題でして、そういう点もしっかり議論することのできる国会にしていかなければいけないと考えております。ありがとうございました。

   2006年9月20日

横 路  孝 弘