日本の文化、伝統を守る 〜労働倫理観、自然への畏敬の念〜

 

 皆さんこんにちは、横路孝弘です。いかがお過ごしでしょうか。
 国会はだんだん会期が迫って参りましたが、共謀罪の問題や、あるいは医療制度の改正、それから憲法改正国民投票法案や教育基本法の改正法案といったような大変重要な問題がまだまだ残されております。
 今後の国会運営がどうなるか。6月末には小泉総理はアメリカを訪問し、7月にはサミットがあるということですので、これらの重要法案について私としてはまだまだ審議をしっかりしなければならない。ですから今国会では廃案にすべきだと思っております。
 教育基本法の問題が突然政治日程に上ってしまいました。自民党からの案、民主党からの案がありますが、やはり今の教育基本法が一番良いと思います。

 戦前の日本は教育勅語のもとに「国家が第一、国民は第二、第三」なんですね、国家あっての国民だったわけです。
 新しい憲法と教育基本法が、「それは違うよ」と、「国民あっての国家」なんだと価値観の転換を図ったことです。これは一人ひとりの命は地球よりも重いという言葉もありますが、大変大事な基本的なことだと思います。
 戦前、教育勅語のもとで国家のために死ぬことのできる人間という教育をしてきたわけですね。やはりそれが間違った道を歩んで、あの戦争につながっていったわけでございますので、そこの転換はしっかりしていく。そういう教育基本法は今でも人類の普遍的な基本をしっかり規定しているものだと思っています。

 よく教育基本法には日本人の文化とか伝統とかいうものが書かれていない、だから今の日本の社会がおかしくなったんだと言われる方がおります。自民党の教育基本法改正論者はみんなそういうことを言うんですね。
 しかしいわば日本の良さを失ったのはなぜなのかと、何によるのかということが大事なんですね。たとえば日本には昔から平等、勤労、あるいは公正、公平、努力といった社会正義の観念があったわけです。汗水流して働けばしっかり報われるという労働倫理観をもって日本人は働いていたわけですよ。
 それを壊したのはまさに自民党・小泉政権ではないでしょうか。汗水流してお金を稼ぐ時代は終わったと、頭を使って投機で金儲けする時がやってきたということで、投資ファンドが企業に揺さぶりをかけて株価を吊り上げたり買収したりなど一攫千金の経済活動が行われて、それをやっている人間は税金を払いたくないと言って日本国外に出て行くわけですから。そして「平等、公平、公正」といった言葉に代わって、「競争、効率、悪平等、投資、投機」といった言葉をもてはやしてきたのは誰なのかということなんですね。

 日本人の社会というのはもっともっとモラルを持っていたし、もっともっと謙虚さを持っていたわけですよね。日本は自然と共に生きてきましたから、自然に対する恐れとか、自然の恩恵に感謝し、そして自然に対しては畏敬の念を持って生きてきたわけです。そのことは他人や他国に対する謙虚さにつながっていたわけです。
 しかし、金さえあればできないことは何もないと、金が全てだという考え方のもとに、謙虚さなどが失われてきているのではないかと思います。まさに競争と効率の社会になっています。
 小泉さんや竹中さんの路線というのは、人々の私利私欲に任せておけば国全体の利益は最大限に達成されるというアダム・スミスの考えと一緒なんですね。この考え方は自由競争を促進して、適者生存の原理を貫徹させるべきだと。いわゆる社会ダーウィニズムといわれている、弱肉強食でいけば生存競争が続いて自然淘汰されると、そういう社会が自分たちが目標とする社会なんだということになりますから、社会保障なんかやめてしまえ、小さい政府だ、自己責任だということになるわけです。

 その結果どうなるでしょうか。社会が衰退してしまうんです。日本のそういう文化や伝統がなくなってしまう。潰してきたのは小泉、竹中さんたちの自民党のこういう考え方なんです。そこを私たちはしっかり見ていかなければならないと思います。


   2006年5月27日

横 路  孝 弘