みんなで憲法を読もう!
2006年新春ごあいさつ


 

 皆様明けましておめでとうございます。
 この2006年が、皆様にとっても日本にとっても本当に平和で明るい一年になりますように、国会でまたしっかり頑張って参りたいと思います。

 国会は与党が3分の2を占めるという中で、今年はまず税制改正の問題が出て参ります。
 ひとつは住民税が一本化されます。現在の5%、10%、13%が10%に一本化されます。それによって増税になる人々がだいたい納税者の約60%、年収270万円から500万円くらいの人は住民税が5%から10%に上がります。
 所得税はいまの10%、20%、30%、37%という4段階から、5%という低い区分が新設されまして、あとは10%、20%、30%、40%ということになります。最高税率は37%から40%に引き上げられますが、もともと最高税率は70数%あったわけですから、まだまだ所得の多い人に対しては負担が低い状況が続くということになります。

 一方で控除ですが、配偶者控除、それから特定扶養控除というのがなくなりまして、また大きな問題は、生命保険料控除がどうなるかということなどが大きな課題のひとつでございます。
 いずれにしても庶民にとっては増税になるわけであり、これに消費税の問題が出てくるわけでございまして、2ケタへの消費税率アップということが本格的な議論になるでありましょう。

 もうひとつは医療制度改革です。
 医療制度改革では70歳から74歳の方の窓口負担が今の1割から2割に上がります。そして所得の多い70歳以上の方の窓口負担は2割から3割になるのです。それから75歳以上の高齢者の方から保険料を徴収して、新しい保険制度が創設されようとしていますし、これから都道府県を中心に「医療費の適正化計画」という名の下に、入院日数の短縮といったようなことが行われようとしています。

 いずれにしてもいま政府が考えていることは、中央政府の負担は低くして、地方自治体や個人の負担は重くする、個人でもむしろ庶民の負担が重くなって、所得の高い人の税率は依然として低い状況のままという、こういったアメリカ型あるいはイギリス型といいますかアングロサクソン型の所得や資産の構成に益々なって、いわゆる中間所得層といった人々がだんだん崩壊しつつある、それをさらに促進するという、まさに小泉さんの求めている政策が具体的にこれらの面で実現されようとしています。

 そしてまた憲法の国民投票法案が議論されようとしています。これも法案の作り方によって憲法改正のハードルが高くなるか低くなるか変わってきます。
 例えば憲法改正のひとつひとつ、前文の改正、9条の改正などひとつひとつに賛成反対をするのか、一括して賛成反対にするのか。また賛成反対をどのようにするのか、例えば最高裁判所裁判官の国民審査のように×を付けた人たちだけを反対とすると、いわば白紙の票はみんな賛成票となってしまいます。そういう賛否の仕方をどうしていくのかということなど、大変たくさんの問題があります。
 これはやはりハードルはしっかり高くしていかなければならない、このように思います。

 自民党の憲法草案、民主党の憲法提言が出ましたが、いずれも問題があります。
 やはり9条です。民主党の憲法提言も「制約された自衛権を明確化する」としていますが、しかし国連憲章51条でも自衛権を明確化するということを言っていますから、集団的自衛権も入ってきます。制約された自衛権というならば、今の9条1項2項で充分なのです。どうも2項を削除するというのが前原代表の意向のようです。この点では自民党と同じになります。
 さらに自民党の場合は、国を守る責務を国民が持つということを規定する、あるいは軍事裁判所を設置する、あるいは憲法改正の要件を軽くすると、発議の要件を今の3分の2から過半数にするというようなことなども自民党の新憲法草案にありますし、民主党の憲法提言の中での問題は、内閣の主体について、いま「行政権は内閣に属する」というのを「内閣総理大臣に属する」として首相の地位と権限を物凄く強化するということです。これは独裁者が総理大臣になったら大変なことになります。
 そして非常事態も規定するということ。あるいは国民の権利義務で共同の責務というなんかよく分からない概念を入れようとしています。
 民主党の憲法提言も問題点が非常に多いものでございます。

 やはり私どもは何と言っても日本国憲法9条1項2項、これをしっかりと守っていく、日本国憲法は世界各地の国民が闘い取ってきた原則が豊かに含まれている憲法でありまして、みんなで憲法をしっかり読んで、その内容を見ていこうではありませんか。

   2006年1月1日

横 路  孝 弘