国際競争力の高い北欧諸国の秘密を探る
北欧3カ国視察報告


 

 皆さんこんにちは、横路孝弘です。
 特別国会は11月1日で終わりましたが、その後、私はフィンランド国会議会の公式招待で11月14日から1週間ほどフィンランドを中心にデンマークとスウェーデンに行ってきました。
 これらの国々は税や社会保障の国民負担が日本の倍くらいあります。大変大きな負担を国民一人一人がしています。
 しかし国際的な経済競争力は非常に高く、毎年スイスで開かれる世界経済フォーラム(通称ダボス会議)の発表では、フィンランドがトップでスウェーデンが3位、デンマークが5位なんです。日本よりはるか上にいずれもこれらの国が頑張っているわけです。

 一体その秘密は何なのかということを中心に、フィンランドでいろいろとお話を聞いたり、学校に行ったり、現場を見てきました。
 ひとつは教育の質が非常に高いということ。小学校から大学まで教育は無料です。OECDに加盟している国の中でフィンランドが一番教育に投資しています。日本は一番低いのです。やはり教育に大変なお金をかけていて、特にフィンランドは図書館での本の貸し出しが世界一なのです。子どもは小さいときからお父さんに本の読み聞かせをしてもらっている。学校に行くようになると自分で図書館から本を借りて読むという習慣が身についているのです。
 フィンランドにしてもデンマーク、スウェーデンにしても、帰宅時間のラッシュは午後3時半から5時。朝は8時や9時出勤。ですから夕食は家族揃って食べて、ご飯のあとにお父さんが子どもに本を読み聞かせると。本というのはテレビと違って話を聞いて自分で想像することができますね。想像力が非常に豊かになるのです。想像力が豊かになるということは人間にとって本当に大事なことです。
 そういう非常に質の高い教育。授業時間が多いのかというと日本より少ない。そして考えること、問題を見つけてそれを処理する能力に重点をおいて教育を行っています。

 それから女性の社会参加、これは男女平等オンブズマンというところでお話を聞きましたが、国会議員を含めてだいたい40%が女性です。あらゆる分野に女性がどんどん参加していっています。
 それからもうひとつは科学技術への投資、技術革新への投資が非常に高いということ。日本はここが非常に低いわけです。
 フィンランドは人口が少ない国ですけれども、こういった質の高い教育、女性の社会参加、そしてしっかりとした技術革新への投資があって、世界経済のトップを占めているということを聞いてきました。
 日本の家庭で夕飯を毎日家族揃って食事できているという家庭がどのくらいあるでしょうか。就学前の子供を持つ父親サラリーマンの帰宅時間についての厚生労働省の調査があるんですけれども、神奈川や千葉、埼玉の南関東では午後11時から午前3時の間に帰る父親が22%もいるという驚くべき数字です。こんなところから子どものいろんな問題も発生してきているのだなという思いがいたします。

 デンマークでは洋上の風力発電を見てきましたが、風力発電のウエイトを全体の電力の20%にするということで、それはもう達成するところまで発展してきているようです。
 スウェーデンでは若い人たち、日本で言うとニート・フリーターといわれる人たちの職業訓練、職業政策はどうなっているのかということをいろいろと聞いてきました。

 こうして日本と北欧の社会を比較しながら、我々が学ぶべきことは学んでいかなければなりません。いま日本の社会は小泉さんと竹中さんの政策の下で、アメリカ、イギリス、オーストラリア、ニュージーランド、アイルランドというアングロサクソンの仲間入りをしています。所得格差が非常に大きい、貧困率が高い、長時間労働、しかし国民負担率は低い。この対抗にあるのは北欧諸国やベルギー、オランダなどの北ヨーロッパの国なのです。これらの国は労働時間は短い、所得格差は少ない、貧困率も少ない、しかし国民負担は大きい。国際競争力はというと非常に高い。我々日本も大きな選択を迫られていると思います。

   2005年12月4日

横 路  孝 弘