『静かな時限爆弾―アスベスト』

 

 皆さんこんにちは、横路孝弘です。
 国会は8月13日まで会期延長になりましたが、ご承知のように郵政民営化法案を巡って参議院でどうなるのか、小泉さんは参議院で否決されたら衆議院を解散すると言っています。こんな解散はかつてないわけで、『自爆テロ解散』なんて言われていますけれども、そうなれば選挙ということになります。
 私たち民主党としては総選挙を受けて立って、政権交代を実現したいと考えています。

 今日はアスベスト問題をお話したいと思います。
 アスベストは『静かな時限爆弾』と言われていまして、だんだんと被害者が増えてきました。2003年で中皮腫で亡くなった人が878人、石綿肺がんで亡くなった人が1756人、合計2634人です。
 ピークは2030年と言われています。というのは潜伏期間が30年前後と非常に長いわけでございまして、中皮腫で亡くなる方がピーク時で年間5000人くらいは出るのではないかと大変心配されています。

 石綿の輸入量は1970年代から80年代を中心に1000万トン輸入されました。その後製造はだんだんと中止されてきましたが、いまも5%程度が製造を認められています。
 アスベスト問題は製造を止めればそれで解決するかというとそうではなくて、この9割は建築資材として使われていますから、個人の住宅やビルなどはアスベストでいっぱいなんですね。特に昭和30年代、40年代の建物というのは。だから住宅を解体するときが大変問題なのです。燃えませんから焼却できません。破砕するとアスベストが飛び散ってしまいます。だから埋め立てしなければいけないということで、この費用は膨大になりますし、解体作業も大変になります。

 今まで労災問題の対象としては主にアスベスト工場で働く人が中心でしたけれども、最近は工場に出入りしていたトラックの運転手さんとか、アスベスト製品を解体した人たち、例えばJRの車両のイスなどにアスベストを使っていましたから、その解体をしたJR社員とか、自動車のブレーキやクラッチ板にアスベストを使っていますので自動車部品メーカーの人とか。何より大きいのはやはり住宅建設に従事した人たちですね、配管工とか配電工とか。あるいは住宅の解体にあたった人も。どんどん範囲が広がっています。
 しかもアスベスト工場で働いている人の作業服を洗濯した家族の人が病気になったとか、工場周辺に住む人々にも被害が出ていまして、労働災害というよりも『大きな公害』として大変大きな問題です。

 アスベスト問題が提起されたのは1972年、今からもう30年以上前からWHOやILOなどが問題を指摘してきましたが、そのことを厚生省も労働省も環境庁も認識しながら放置してきたところにやはり大きな責任があります。
 1992年に当時の社会党がアスベスト禁止の議員立法を出したのですが、メーカーや製品を利用する企業など大手がみんな加盟している日本石綿協会というところが大反対しました。反対文書にはどういうことが書いてあるかといいますと、「石綿製品の製造・販売が禁止されると産業界に多大な影響を及ぼす」「今後は作業従事者の健康障害は起こりえない」「一般の環境において石綿による健康問題は発生していない」とか、危険性が指摘されているにもかかわらず大キャンペーンを張りまして、自民党の反対でこの法案はつぶれてしまったのです。反対した企業の労働組合も一緒になって反対したんですね、これも責任が大きいと思います。

 したがって問題はたくさんありまして、民主党はプロジェクトチームを立ち上げました。私もその役員の一人です。今やるべきことは、アスベストの製造工場は日本全国どこにあったかを把握して、そこで働いてきた人の健康診断をしっかりすること。それから1000万トンのアスベストがどんな形でどこにあるかということを調べることと、工場の周辺に住んでいた人々の健康調査も必要だと考えています。
 私どもは集中して審議をして、アスベストに関する総合的な規制の法律を作りたいと考えています。
 そんなことで、厚生労働部会としてたくさんの問題を抱えて毎日忙しく活動しております。

   2005年8月1日

横 路  孝 弘