中国の高度経済成長と日中関係

 

 国会は10月半ば過ぎから始まることになっています。私はこのたび民主党ネクストキャビネット厚生労働大臣になりまして、年金や介護、そして医療保険問題、さらに雇用問題、フリーターやパート労働の問題などを担当することになりました。まさに今ここが日本社会の一番大きな問題でございますので、力いっぱい頑張って参りたいと思っています。

 さて9月21日から6日間、民主党内の「日中21世紀の会」の訪中団として中国の北京、上海などを訪問して参りました。
 北京では羅幹(らかん)常務委員や中国共産党の対外関係の責任者、あるいは人民銀行や社会科学院の皆さんと意見交換をして参りました。
中国要人と会談する横路孝弘 現在の日中関係は、経済的な相互の投資とか貿易が本当に順調に拡大していまして、むしろ日米の経済関係を上回る関係になってきています。ますますそういった投資は拡大していまして、中国サイドはここ数年ずっと毎年9%前後の経済成長を続けています。
 人民銀行や社会科学院で話を聞いてきましたが、中国としても、この高度経済成長をやはり少し抑えなければいけないと、少しバブル気味があると。北京などでは月餅(げっぺい)が売られていますが、6個で4万円とか5万円するような、かつてないような月餅が売られていまして、まさにバブルだなという感じが強くいたしましたが、ひとつは金融の貸出規制、不動産などに対する投資の規制を行っております。そういった誘導策をやりながら、ソフトランディングをめざすということで努力されていました。
 また北京はめずらしく青空が見えまして、かなり環境対策、特に排気ガスの悪い自動車が一変した感じがいたします。そんな意味では、問題を抱えながらも大変活発な経済活動の様子を見てまいりました。

 しかし他方、日中関係でいうと、小泉総理が中国を訪問することが出来ない状況になっています。それはいわゆるA級戦犯の人たちを祀っている靖国神社を参拝しているからなんです。小泉さんはそのことで中国が嫌がることを知っててわざとやっているわけです。いま本当にこの大事な世界の状況の中で、中国と政治的な対話が充分行われない、本当に情けない状況にあります。
 そうした中で中国は、たとえば自由貿易地域を拡大しようということでASEAN(アセアン)と提携したり、韓国との関係も非常に密接になっています。また6カ国協議では北朝鮮の核問題などでイニシアチブを取ってこの北東アジアの平和のために努力しています。
 そういう多国間の関係が非常に拡大している中で、ともかくブッシュ米大統領にただ従うだけと、ブッシュ大統領を褒め称えている一国の指導者は今や世界広しと言えどももう小泉さんしかいません。そんな情けない状況にありまして、中国側も政治的な対話をもっと復活したいという思いでありました。

 あともうひとつ、サッカーアジアカップでの例のいわゆる日本選手に対する観客の行動などについても議論をいたしました。お互いの国民感情ということで、確かに重慶などは太平洋戦争で空爆が行われてたくさんの人が亡くなったというような背景などもあります。中国もだいぶ力をつけてきましたから、若い人たちがそんな意味で発言し行動するというようになってきているわけです。ただもちろん中国政府はそのことを非常に恐れていまして、デモなどについてはむしろそれを抑えているというのが現状かと思います。
 日本においても、何かあると「中国けしからん」、「北朝鮮けしからん」という感情だけがどんどん拡大していくということではいけないわけでして、やはりお互い歴史認識をしっかり共有して、そして将来のことを考えていかなければならないと痛感いたしました。

 また上海ではリニアモーターカーに乗りました。30Kmを7分間、最高速度が423Kmということで、あっという間に着きました。これですと札幌−新千歳空港間にリニアを導入すれば、10分ちょっとで行くということになるわけです。日本の場合は山梨の実験線で行われていますが、まだまだ実用化しないという状況です。そういう新しい技術も取り入れながら、同時にオリンピックをめざして活発な投資が行われている中国ということを痛感して参りました。
 秋の国会で頑張っていきたいと思います。ありがとうございます。

 (写真右は武大偉:中国外交部副部長)

  2004年9月29日

横 路  孝 弘