9条改正と軍司令部を突きつけるアメリカ

 

 今年の夏は暑い夏が続きましたけれども、皆さんいかがお過ごしでしょうか。
 また今年も8月になり、8月6日広島、8月9日長崎、8月15日終戦記念日を迎え、戦争が終わって59年が経ちました。

 今から59年前に日本はあの無謀な戦争に負けて、そしてもう戦争をしない平和な国家で生きていこうという決意をして、今日までみんなで努力してきました。しかし最近その方向が本当に危うくなっています。
 アメリカのパウエル国務長官とその下にいるアーミテージ国務副長官が、最近表立って日本の憲法改正を要求し始めています。
 アメリカがなぜいま日本の憲法改正を要求するのか、もちろん憲法9条の改正を要求しているわけですが、それは何のためかというと、自衛隊の海外派兵をさらに容易にして、いわば世界で行動する米軍と行動を共にしてほしいということなんです。

 もちろんこんなことを許してはならないと思うわけですが、そうした方向性の中でいまあまり大きく報道されてはいないんですけれども、いまアメリカは米軍の再編成を世界的に進めています。そして特にその中で問題なのは、アジア全体あるいはもっと幅広く部隊を指揮する指令の中枢機能、いま陸軍の第一軍団司令部がワシントン州にあるんですが、これを日本へ移動させようと、つまり司令部機能を日本に持とうというんですね。グァム島には空軍司令部がありますが、それと横田基地を統合し、さらには日本の航空自衛隊の航空総隊の司令部、いま東京の府中市にありますが、これも米軍の横田基地へ移設しようと、つまりそういう機能を米軍と全く一緒にしてしまおうというわけです。
 そしてさらに、いま沖縄に駐留している米海兵隊の砲兵部隊を北海道の陸上自衛隊矢臼別演習場へ移転しようという計画なども進められているわけです。
 これは本来、日米安保条約に基づいてアメリカが日本の基地を使用することについて極東条項というのがありまして、そのために日本は基地を提供するということになっているわけですが、その範囲をはるかに超えて、まさに日本を米軍の前線基地にしていくということなんですね。

 先ほどアメリカが憲法9条の改正を要求していると言いましたが、それに呼応する形で、いま日本政府は防衛計画大綱を改定しようと議論していますが、その中で自衛隊の海外派遣というものを、つまり海外派兵ですね、これを本来の任務にしようということで、自衛隊の目的に海外派兵を上げようとしているんですね。
 こうして米軍と日本の自衛隊は全く一体化して、自衛隊はアメリカの本当に自分勝手な理屈を立てて先制攻撃をするといった軍事力中心の、そのまさに「保安官の助手」たる役割をしていこうという方向に向かって進んでいるわけです。これをやはりしっかり止めていかなければいけないんです。

 憲法9条が歯止めをしている非常に大きな点は何かというと、集団的自衛権の行使はしないということなんです。集団的自衛権というのは、日本は攻撃されていないし平和であると、しかしアメリカがどこかで軍事行動をしたら、日本の自衛隊も一緒に自衛権を発動して行動するというのが集団的自衛権なんです。
 米軍というのは第二次大戦後約60年間ほとんど毎年あちこちでいろんな軍事行動をしている、そういう軍隊でして、そういう米軍と行動を共にするというのは日本の自衛隊が世界中に出かけていく軍隊になってしまうというわけです。
 ですからやはり、何と言っても私どもは憲法9条をしっかりと大切にして、そして国連憲章がめざしている集団的な安全保障を推進していくことが重要なのです。

 いま国連が抱えている世界的な問題はたくさんあるわけですね、もちろんその中にはテロや大量破壊兵器の問題などありますけれども、しかしそればかりではなくて、エイズの問題ひとつ取ってみても非常に深刻で、特にアフリカ中心にして深刻な状況がだんだん広がってきています。
 そんな問題を含めて、我々が世界の中で果たさなければいけない役割は多様にあるわけで、そのことをしっかりと見つめながらこの憲法9条を大切にしていかなければいけないという思いを、この8月に非常に強くした次第です。

  2004年8月18日

横 路  孝 弘