不良債権処理の強行は、経済を益々悪くするだけ

 

 皆さん今日は、横路孝弘です。
 臨時国会が始まりましたが、私は予算委員会と内閣委員会に所属して国会活動をしていこうと思っております。

 いま何といっても経済をどう再生するかということが最大の課題です。
 どうしてこんなことになっているかといいますと、やはり先行きになかなか展望がもてない。みんな将来が心配なのです。だから例えば、10年前ですと企業は1年間でだいたい50兆円くらいのお金を借りて、新しく設備を投資してきました、店舗を増やしたり工場を作ったりしてきたわけです。しかし今は、20兆円のお金を返しているのです。売上げが上がらない中でも、苦労して利益を出して、その利益が投資に回らないで銀行にお金が返っているのです。
 それから一人一人の国民も、金利が全くゼロの状態の中でも預貯金していますから、個人の金融資産は全国で増えています。

 銀行に集まったお金が民間に貸し出されて動いていけば経済というのは回っていくのですが、貸出しはこの50ヶ月間減っているのです。大企業に対する貸出しは横ばいで減っていませんけれども、中小企業に対する貸出しは大幅に減っているのです。集まったお金で銀行は国債を買っている、だからお金が生きていない、これが最大の不況の原因なのです。

 いま議論しているポイントは、不良債権をどう処理するかということですが、不良債権というのは銀行にとっての話でして、企業からいうと借りたお金が返せなくなっている。銀行からいうと貸したお金が回収できない。しかし借りた方も何とかこの不景気の中で頑張りながら、借りたお金そのものの返還はできなくても利息はちゃんと払いますよと、景気がよくなれば全部返しますからということで頑張っている中小企業がたくさんあります。
 ところがいま小泉さんや竹中さんがやろうとしているように、不良債権処理を強行して、中小企業に対する金融や、失業した人に対する手当なしにやりますと、失業と倒産がワーッと増えてしまうわけです。だいたい15兆円くらいの不良債権を処理すれば、100万人近い人が失業すると言われています。

 銀行は貸したお金が返ってこないので、もうその企業に貸すのをやめますよと、そして返ってこなかった部分(不良債権)はRCC(整理回収機構)に回します。RCCとは、銀行が回収できなかった債権を譲り受けて、それを売却するなどの手段で回収するという機構です。例えばだいたい1000億円くらいの不良債権を買ったとすれば、回収できるのは今までの実績によると平均で12%くらいと言われています。
 いままで18万の企業が整理回収機構に回されて、生き返ったのがたった200社、あとはみんな潰れてしまいました。
 ですから、不良債権処理を強行するということは、企業を潰すということにつながり、そのことは失業がまた生れるということになる、つまりは経済を益々悪くするということになるわけです。

 その結果どんなことになっているかというと、例えば高校や短大、大学を卒業した卒業生の就職口がない、そういう若者が全国で300万人とか400万人いる。これで一体日本の将来は本当にどうなるのでしょうか。そんな若者の失業が深刻になっています。
 「仕事があった、良かったな」と思ってもパートか派遣労働で、正規の社員にはなかなかしてくれない。パートや派遣労働も労働の一つの形態で、それはいいです。きちんと同じ仕事をすれば同じ賃金がもらえるという原則があれば、それでも構わないのですが、実際には給料は5割から6割くらい、社会保険の適用もないと、こういう状態になっていって、そういう労働が広がっているのです。
 あるいは正規の社員として仕事をしている人も、今まで20人でやった仕事を10人でやる、10人でやったのを3人でやるということでものすごい労働過重になっています。朝6時過ぎに家を出て、帰ってくるのは夜中の12時過ぎというようなケースが増えて、過労死だとか過労自殺だとか過労精神障害とか、しかもそれが20代、30代でだんだん増えているのです。

 ですからこういう事を考えますと、不良債権の処理を含めて、経済政策をどうしていくべきなのか。私は、需要を拡大する政策をしっかりやらなければいけない、社会保障、社会福祉を充実しなければいけない、ワークシェアを進めなければいけない、やるべきことはたくさんある、そういう総合的な経済政策が必要だと考えております。

  2002年10月27日
                                                 横 路  孝 弘