小泉内閣に見切りをつけよう

 

 皆さんこんにちは、横路孝弘です。
 いよいよ国会も始まりました。今年はまた本当に経済も社会状況も厳しくて、何が起きても不思議はない一年だと思います。
 小泉内閣が登場して8ヶ月経ちましたが、依然として支持率は80%、驚きです。この8ヶ月間、私どもの社会や経済をめぐる指標で何か改善されたものがあるでしょうか。倒産も最悪、失業も最悪、犯罪も最悪ならば、自殺やホームレスの人々の数も最悪と悪くなるばかりの中で、どうしてこんなに期待が集中しているのでしょうか。
 小泉さんの言っている構造改革に、何かやってくれるのではないかという期待があるのかもしれませんが、その構造改革がいったいどういうものなのかということについての受けとめ方もみんながいろいろ違うと思うのです。

 小泉構造改革の一番大きな問題は、アメリカ的ないわば「競争と効率」、そういう社会にしていこう、市場主義といわれている競争原理をあらゆる分野に入れていこうとしている点です。
 例えば、解雇は自由にする。ホワイトカラーの人たちの労働基準法適用は排除しようと、こんな議論が小泉内閣のもとで行なわれていますし、何よりも医療改革ということで、結局は私どもの負担が増えるだけの話なんですけれども、同時にその中で次のような議論が行なわれています。
 今までは保険による診療・診察です。いわば国民皆保険制度というのが日本の社会の非常に大きなプラスの点のひとつです。つまりお金がある人もない人もちゃんとした診療を受けることができるのが国民皆保険制度でございますが、それを変えて、今度は医療費を抑制するために、保険による診療と保険外の診療を組み合わせようというわけです。
 病院に行ったとき、お医者さんに「保険でやるならばこの検査とこの薬になります。もし自分でお金を負担するなら、ちょっといい検査といい薬も出ますが、いかがしましょうか」と聞かれて、「いや、お金ないから保険の中でよろしくお願いします」と言えば保険の中。「やっぱりちょっと心配だからお金出します」と言えば保険外の診療もやってくれる。つまりお金のあるなしによって受ける診察が変わってくるのです。
 このことを推進している規制改革委員会のオリックスの宮内さんが、雑誌のインタビューの中で、「貧富によって、つまりお金があるかないかによって診療が違ってくるのでは」という質問に「いやいや、お金のない人だって本当に診察が必要で自分の命が大事だったら家を売ってだってお金をつくればいいじゃないか」と答えられています。

 本当に強いものさえちゃんとやれればいいんだと、こういう考え方、これが本当にアメリカ的な考え方なんです。
 ですから小泉構造改革というのは、実は強い数%の人間だけ伸びていくけども、あとの人間は淘汰されてしまうというような社会をめざしているのです。口に出しては言ってませんけれども、やっていることはまさにそうした方向なのです。それをこれから国会の中でしっかり追及し議論していかなければいけないと思っています。

 私たちにとって一番大事なことは、やはり仕事があることです。いま失業率が5.5%で350万人といわれてますけれども、総理府の調査ですと、もう仕事を求めることを諦めた人が400万人。この400万人の中に一部入りますけれども、フリーターといわれている方が200万人くらい。もうこれだけで失業率が13%から14%くらいになります。
 さらにこれからリストラと不良債権処理が進めば150万人くらい新しく失業者が出るといわれていますから、そうするとあの暴動の起きたアルゼンチン並みの失業率になってしまいます。
 失業がどんどん出る、痛みはみんなで我慢しようではないかと言って、これを構造改革の成果だとうそぶいている小泉内閣に、もうそろそろみんなで見切りをつけようではありませんか。

    2002年1月26日
                                                 横 路  孝 弘