ルビコン川を渡ってしまった…自衛隊の戦争協力

 


 皆さんこんにちは、だいぶ寒くなってまいりましたが、いかがお過ごしでしょうか。
 アメリカにおける同時多発テロが起きて、その後の日本の対応をめぐって国会で様々な議論が行なわれました。
 非常に大きな問題点は、自衛隊が米軍に協力するということで、戦後初めて他国の戦争に協力するために海外に派遣されるという問題です。
 米軍はこの前のテロをいわば自国への自衛権侵害だということで、自衛権を発動しました。

 日本の自衛隊は日本の国土を守るのがあくまでも任務ですから、そういった他国の戦争に協力するということは、憲法でもちろん認められていません。
 それにもかかわらず、今回戦後初めて自衛隊が航空機や艦船を送って、武装したアメリカ兵を航空機で輸送すること、武器や弾薬を艦艇で輸送すること、さらに日本政府が80億円分の燃料を買ってアメリカに提供することなどを決めた自衛隊の海外派遣が国会で承認事項として提出されました。

 私は、日本の憲法の趣旨や戦後ずっと議論してきた自衛隊の役割、任務という点から考えまして、これは許されるものではないということで、先日の国会で反対をしたところであります。
 今回のことをもし前提として認めますと、これからどんな場合でもアメリカから要請があれば、米軍と共に地の果てまで行動する軍隊になってしまいましたし、外国の中でも外国政府が認めれば一緒に行動できることになりました。これは今までもベトナム戦争にアメリカが参加したり、アフガニスタンにソ連が参加した理由になっています。アフガニスタンやベトナムの政府が認めたから入ったのだと。つまり紛争に自衛隊が関与するということになるわけで、とてもこんな問題を許すわけには参りません。

 テロに対して一番必要なことは、やはりテロリストの情報を各国が共有することです。そしてそれぞれのグループの資金をしっかり凍結し、出入国をチェックして、その管理体制を強化することです。
 もう3年も前から国連の安全保障理事会でそんな議論がされていながら、実はアメリカも含めてそのテロリストの情報交換や資金の凍結、出入国管理という点で言えば、非常に大きな甘さがあったわけです。
 今回初めてそういった国同士のいわば横の連携が取れるようになったわけですけれども、それをしっかりやることのほうが大事ですし、これから日本がやるべきことは、軍隊を送ることではなくて、アフガニスタンの復興をめざした本当の民族和解の政権ができたら、それに対してどんな協力をすることができるのかを議論し、実行することです。
 アフガニスタンには地雷がまだ1千万発もあるということですから、自衛隊がPKOとして参加して、つまり今回の法律ではなくてPKO法に基づく人道支援として地雷の撤去にあたったりする活動のほうがよほど必要だと思います。

 アメリカは、今はアフガニスタンに対して戦争を行なっていますけれども、アフガニスタンだけで終わるかどうかわかりません。アルカイダというテロリストの組織は他にもいる、これを応援した国もあるといって、イラク、ソマリア、スーダン、フィリピン、こういう国に対しても攻撃しようという意見が従来からペンダゴンの強硬派から言われています。
 もしもそんなことになって戦線を拡大したときに、自衛隊はさらにそんなところに武器や弾薬や武装アメリカ兵を送り込んでいいのでしょうか。
 私は今回のこの日本の措置、本当にあのルビコン川を渡ってしまったなという想いが致します。

 二度と世界の戦争に参加することはしないという原点に返り、私たちがやるべきことはたくさんあります。アフガンの復興に対する協力などもしなければいけない。そんなことを考えまして、アフガニスタンの難民やアフガニスタン国内の被災者に対する様々な救援活動をやってまいりました。そして多くの皆さんから募金を頂いて、ペシャワール会「アフガンいのちの基金」に先日も民主党として寄付したところでございます。
 これから益々寒くなりますので、皆さんどうぞ健康に気をつけて、お元気でお過ごし下さい。

    2001年12月3日                                横 路  孝 弘