集団的自衛権の行使につながるテロ特措法

 


 去る10月18日に、アメリカにおける同時多発テロに関する日本のテロ対策特別措置法が衆議院で成立致しました。私はもちろん反対致しました。
 これはテロ対策とはなっていますが、内容は自衛隊が米軍に協力するという米軍支援協力法です。
今月はこの法律についてお話したいと思います。

 米軍はアフガニスタンへの武力行使において自衛権を行使していますから、これに協力している各国は集団的自衛権の行使だということで協力しています。日本の自衛隊も今回の法律どおり活動した場合、実態は集団的自衛権の行使という中身になってしまうと私は考えています。

 自衛隊が何をやるかといいますと、ひとつは武器弾薬など物品の補給と輸送を行なう、つまり兵站活動ですね。後方支援といっていますが、戦争時の兵站部分を担う活動。
 もうひとつは、戦闘地域で負傷したアメリカ兵を捜索・救助する活動。それから戦闘行動によって出た被災者を救済する活動、この3つの活動をするということがこの法律の中身になっています。
 片方の手で米軍に武器弾薬を持っていって、その武器弾薬を使って米軍が空爆して、そしてその空爆の結果出てくる被災者をもう片方の手で救済するという、こんな馬鹿げた法律が皆さんあるでしょうか。

 パキスタンとアフガニスタンで20年間医療活動をしている日本人医師、中村哲さんからお話を聞きました。
「難民や被災者を救援するのは、中立的な機関の人々、例えばNGOや国連機関の人々などが救済救援活動をしなければならない。もしそこに米軍に協力している自衛隊が行って、難民救済だといっても、アフガニスタンの人々はそれを信用するでしょうか。むしろ敵だと思われるだけですよ」と中村先生はおっしゃっていました。私もそう思います。

 それから捜索救助活動といっても、負傷したアメリカ兵を捜索して救助するわけですから、戦闘地域ですよね。ところが政府は「それは戦闘地域ではやらない。戦闘地域と一線を画した地域だ」と、訳の分からないことを言っています。
 神学的論争をしているのは政府です。例えばトマホークという長距離巡航ミサイルがあります。このミサイルを発射したところは戦闘地域ではないと答弁しています。では政府のいう戦闘地域、戦争地域はどういうところなんですかと聞くと、人が殺傷されたり、物品が破壊されている場所だと。つまり鉄砲を打っているところは戦闘地域ではなく、鉄砲の弾が飛んでいった先が戦闘地域だと、こういう解釈をしているんです。
 そう解釈する訳は、皆さんご承知のとおり、日本はいろいろな紛争を解決するために、武力行使や武力による威嚇は行なわないということを憲法で決めているからです。戦争というのは、戦闘部隊とそれを支援する部隊、戦闘部隊が負傷などしたときに救助する部隊など、様々な部隊が連携して行動します。そのなかの補給・兵站活動や、捜索救助活動を行なうということはやはり武力行使と一致することですから、どうしても政府はそれを避けるために、本当に訳の分からない理屈をこねているということです。

 日本の自衛隊は本来日本の国土を守る軍隊ですから、行動範囲は日本の領土と領海とその周辺の公海ですが、今回のテロ対策特措法によって日本の自衛隊は、インド洋からあるいはパキスタン、中央アジアまで出掛けて行って、外国の領土内でも活動することのできる、そして米軍の行くところ地の果てまで一緒に行動を共にするという自衛隊になってしまいます。
 私のところには、陸上自衛隊の隊員のご家族からも「本当にどうなるんでしょうか、心配です」というお電話などを頂いております。
 日本の安全を守るための組織が、米軍に協力するためにどんどん出掛けて行ってしまうということを認めてはならないと思います。

 テロの組織をどうやって根絶するのかは、各国がその情報を共有して、例えばテロリストは国の中に入れない、テロリストの資産は凍結する、そういった情報をみんなが共有して、テロリストをかくまわないようにしていけば、おのずからなくなっていくわけでございまして、そういった国際的なネットワークづくりのほうが、いま一番大事だと思っております。
 また国会で一生懸命頑張ります。

    2001年 10月 20日
                                                  横 路  孝 弘