テロと報復戦争を許してはならない

日本の平和外交による中東問題の解決を

 


 アメリカの同時多発テロ事件は本当にひどいですね。想像を絶するような事態が起きました。
 以前からアメリカでも安全保障についての議論がありました。今のブッシュ政権は、ひとつはアメリカ本土をミサイル防衛網で守ろうということで、飛んでくるミサイルをミサイルで打ち落とすことにお金を使う、非常に熱心な政権なんです。
 これに対してアメリカの議会の中で、民主党の議員を中心にして、これからはそういう国家と国家の対立はウエートが低くなり、やはり問題はテロではないかということで、テロ対策をやるべきだといった議論がずっと行なわれていた。そんな最中に今回の出来事が起きたわけでございます。

 テロに対しては、みんなで国際的にも協力して防止していかなければいけないと思いますが、同時に問題の根源は中東問題なんですね。いわゆるイスラエルとパレスチナとの関係が問題なんです。ペルシャ湾はイスラム教にとってもユダヤ教にとってもいわば聖地になっているところです。この中東問題の解決をしっかりやっていかなくてはいけないと思っています。
 アメリカのクリントン前大統領も、任期の最後までPLOのアラファト議長とイスラエルの首相を呼んでキャンプデービットで話し合いを続けましたが、話はまとまりませんでした。
 アメリカ国内にはイスラエル、つまりユダヤの人々がたくさんおられますから、今までの姿勢としてはどちらかというとやはりイスラエルの立場に立たなければいけないんですね。

 日本はそんな意味ではイスラエルにも、あるいはパレスチナを含むアラブの人々にも何か特にそういったような国内事情は全くありません。どちらかというと中東に日本の原油輸入量の86%を依存しているという状況ですから、むしろ本当ならば、日本としては各国との間に中東問題の話し合いの場をつくったりする外交努力を行ないうる立場にあるんです。

 ところがそういうことを積極的にやろうとしないで今日まで来たわけです。
 だからまずこの中東問題を日本も中心になって大いにやるべきです。世界で協力し合ってこの問題を解決しない限り、宗教的信念に基づくこういうテロリズムは、なかなか根絶することはできないのです。テロとそれに対する報復の悪循環になってしまうという危険性も非常にあるわけです。
 本当に想像を絶する今回のテロ事態に直面して、これを抜本的になくしていく努力を日本もしっかりとやっていかなければいけないと、こんな思いで毎日のニュースを見ております。


 私はこの夏、衆議院内閣委員会の委員長として海外視察調査団を結成し、スウェーデンやイギリスなどを訪問しました。内容はイギリスやスウェーデンの財政再建の過程ですとか、エネルギーや雇用問題などいろいろと調査してきました。
 エネルギー問題に関しては、スウェーデンでバイオマス発電所を視察いたしました。スウェーデンの現状は、新規の熱暖房供給システムによるパイプライン網が地域の中にしっかりと張り巡らされていたり、将来的には原子力発電所の全廃が決まっていたり、またすでに水力発電所の新設は止まっています。つまりダムをつくって水力発電することは環境を破壊するということで止められています。そして化石燃料をどうやって減らしていくかということのために、地域の中でもいろんな努力がなされています。

 環境問題に関する「ローカルアジェンダ21」を基本にして、ある地域の再開発が進められていますが、そこでは地区内での交通は電車と自転車だけにして、そしてバイオマスなどによる地域への熱供給と、エコラベル電力の供給を行なうという仕組みになっていて、しかもそれが北欧諸国4カ国で協力し合ってやっているということでした。
 日本の場合、現在は経済が成長すればエネルギーも当然増えるという前提に立っていますが、将来的には、経済が発展してもエネルギーは増えない経済構造にしていこうということなど、なかなかユニークな取り組みがスウェーデンなどでは行なわれておりました。
 また詳細はネットワーク通信などでお伝え致したいと思います。ありがとうございました。

    2001年9月14日
                                                   横 路 孝 弘