参院選の総括と、今後の民主党の方向性

 


 今回の参議院選挙では、多くの皆様からご支援を頂きましたことに心から感謝申し上げます。
 しかし結果としては、全体的に自民党に相当離され、比例区の得票率は、去年の衆院選で25.18%、3年前の参院選で21.75%あったのが、今回は16.42%と非常に落ち込みました。
 比例区選挙は党が評価される選挙ですから、この落ち込みを見ますと、今回の選挙は民主党にとってはやはり「敗北」と言わざるを得ません。
 与野党逆転がこの参院選の目標だったのですが、小泉改革の中身の問題点を充分に指摘し切れなかった。この点では民主党に非常に大きな責任があると思います。
 これから国会で論議するにしても、あるいは次の衆院選の準備を進めるにしても、何が民主党にとって問題だったのかをはっきりさせなければなりません。

敗北原因と責任

 参院選で民主党が敗北した原因は、ひとつは小泉改革の中身の点検を充分にしないで、まず「賛成だ」といって応援団になって、その後に改革の中身が骨太方針などで徐々に分かってから慌てて「やっぱり問題がある」と、ぶれた人がいたからです。
 ですから人事体制も含めて徹底した議論をして、次の衆院選にむけた党の方向性を明確にしなければいけないと思います。
 敗北した責任は執行部にもあります。しかしそれは代表一人にということではなくて、執行部全体の責任であるということをはっきりさせなければいけないと思います。
 去年の衆院選、今年の東京都議選、そして今回の参院選と、選挙結果の究明と責任を曖昧にしながら今日まで来ています。ここを曖昧にせず、「敗北」としてきちんとした総括を行なうことによって次への展望が出てくるのではないか。しっかり議論して問題点を整理することが必要だと思います。

小泉改革の問題点

 小泉改革のうち、経済構造改革という観点では、例えば不良債権の処理、特殊法人の改革、公共事業の見直しという課題があります。私ども民主党はこうした課題についてむしろ率先してやってきました。
 今日までの小泉さんのスタンスはどうもはっきりしません。公共事業をいつまでにどれだけ減らすのか、道路特定財源を一般財源化するのかしないのか、また不良債権を処理するためには相当な倒産と失業が出ますが、そのセーフティーネットとして例えば雇用保険の充実を図るとか、影響を受ける中小企業の倒産防止をどうするのかといったような政策がありません。
 それからもうひとつは、社会保障や教育や雇用といった分野に競争原理を入れて、自己責任という名のもとに国や地方自治体の負担を軽減していく、つまり公的な部分が果たさなければならない役割をできるだけ軽減しようとしていることにも非常に大きな問題があります。

 いま「改革」という言葉で非常に幅広い課題を表現してしまっていますから、その中身を良く見て議論しなければなりません。骨太方針などは参院選突入の直前に発表されたので、まだ全く議論されていません。私は衆議院の内閣委員会委員長ですので、国会が始まりましたらまずその中身を委員会で徹底して議論していこうと思っています。

「第3の道」民主党

 小泉さんがやろうとしていることはレーガノミクスやサッチャリズムの方向、つまり一部のエリートと多くの低所得労働者をつくる改革です。民主党は対抗軸として、ヨーロッパの社会民主主義的な方向で党全体をまとめてきています。「小泉さんがいいんだ」というのなら、小泉さんと一緒にやればいい。それなら民主党はいらないのです。政権交代をめざすということは、違った選択肢を国民の前にはっきり提示するということです。
 私どもが示す選択肢は、経済はフェアな自由競争であっても、社会はやはり公正でなければいけないということです。貧富の差が拡大する社会を望んでいるわけでは決してありません。

 民主党がスタートしたときの方針は、市場万能主義でもないし、すべてを国家がやるという考えでもない、いわば「第3の道」です。その第3の道というのは、経済は市場主義であっても、社会まで競争と効率の市場主義では困りますよということです。
 いま党内でいろいろ議論しています。例えば景気改革、構造改革について、私どもはもともと二兎追わなければいけないというスタンスでしたから、その政策を出していく。特に焦点になるのは、やはり社会保障の充実という点です。
 民主党は、競争と効率の社会ではなく、みんなで協力し合う社会が必要なんだと考えています。

 自民党が大勝したのは、いまの閉塞感を打開してほしいという国民の気持ちからだと思います。しかし国民の気持ちとしては白紙委任状を与えたわけではないと思います。
 私どもは本当に国民のための改革をすすめなければなりません。改革といっても、業界のための改革になりはしないか、やるべき改革はやらないで、やってはいけない部分に手をつけるのではないかと厳しく監視し、徹底的に議論してまいります。
 現在と将来の国民の立場にたって、変えるべきところは変え、変えてはいけないところは変えてはいけないということ。これが臨時国会を含めた小泉政権に対する民主党の姿勢です。

 バブルでモラルを失い、リストラで人間を邪魔者にしてきました。もう一度モラルを取り戻し、人間を大事にする社会を基本にして改革を行なっていきたいと思います。


    2001年8月9日
                                               横  路  孝  弘