集団的自衛権の行使は認めない

 


 小泉内閣が誕生したが、なかなかの人気である。森前首相が余りにも評判が悪かった反動もある。野中氏、鈴木宗男氏などに代表されるような脅しと権力の自民党政治に国民が嫌気をさしていたこともある。

 犯罪、倒産、リストラ、失業なども重なり、不満と不安が世の中に鬱積し、問題を先送りばかりしてビジョンを示さない政治に国民は怒っていた。こんな時、登場した小泉氏に思いをダブらせ変化を求めているのである。
 しかし、すべてはこれからで、何をどう変えていくかは明らかにされていない。むしろ、すでに小泉氏が明言していることのほうに、私は不安と危惧を覚えている。それは、日本の総理大臣として初めて、憲法の改正と集団的自衛権の行使を公約したことである。

 集団的自衛権の行使とは「日本の平和と安全」に関係のない事態でも、米軍が軍事行動を行なう時、日本の自衛隊も行動を共にするということで、今までの政府解釈は憲法上行使できないとするものであった。集団的自衛権の行使を認めないからこそ、ベトナム戦争や湾岸戦争に自衛隊は参戦しなかったのである。
 アジア太平洋地域から中東インド洋地域の紛争で、米軍の行動するところに自衛隊が参加することを認めてよいのであろうか。アジア諸国は日本の行動に神経をとがらせている。
 まるで冷戦時代に戻ったかのようなブッシュ政権。対中国封じ込めであるかのような強硬政策の下、アメリカから日本への要求も強くなるであろう。

 世界の紛争の90%以上が貧困が原因といわれているとき、軍事力でない国連の様々な活動に協力し、強い非軍事力のメッセージを出していくことこそ、平和への道筋である。新しい国家主義の台頭をしっかり監視していかねばならないと思う。

 小泉内閣の改革が本物かどうかを見るポイントのひとつに、不良債権の処理がある。
 貸した金融機関の責任を問わず、債権放棄で「平成の大徳政令」を行なうとしたら、構造改革とは程遠く、真面目に汗水流して働いている企業や個人にとって、到底認めがたいことである。

 現在は、何といっても国民の先行き不安を解消し、ビジョンを示していくことが肝心だ。
 無駄な公共事業を減らし、雇用、年金、医療、介護といった改革に、いかに業界の圧力に屈せず真剣に取り組むか、ここも注視のポイントである。
 これから参院選までの国会の議論がいよいよ私ども民主党にとっても正念場を迎える。
 一生懸命頑張ります。

    2001年5月9日
                                              横  路  孝  弘