歴史や憲法についての認識を見つめ直し
        21世紀の日本の未来を考えていくのが大事


 


 21世紀の世界と日本にとって一番大切なことは何でしょうか。それは言うまでもなく平和であります。日本は平和国家として生きていかなければなりません。日本は平和なアジアや世界をつくる国家として生きていかなければいけないと思います。

 何と言っても憲法の存在意義が大きかったのです。集団的自衛権の行使を禁止し、海外における武力紛争を禁止している憲法、これがあったからこそベトナム戦争も日本は参加しないで済んだのです。集団的自衛権の行使というのは結局、戦争に参加するということです。

 最近の日本の総理大臣が密室の中の4〜5人で決められてしまうという状況を見ればわかりますが、堂々と集団的自衛権の行使のために憲法を改正しなければならないと叫ぶ人が出てきています。歴史に対する認識も、反省も、そして日本と日本人の未来に対する責任のかけらもない発言だと思います。私は今まではそんなことを主張するのは右翼と一部の人間だと思っていましたが、本当にびっくりしました、すぐそばにいたからです。この問題発言は党内でしっかり決着をつけなければならないと考えています。

 国会の憲法調査会も初めは制定過程についての議論をいたしました。自民党は憲法を押し付けだと、占領軍による押し付けだということを狙いとして、制定過程の議論をしたわけです。結論的にいいますと、今の日本の憲法は日本の国会、特に憲法を審議した小委員会における議論というのは非常に質の高いものであって、一方的な押し付けだとは言えないこと、そして新しい憲法はポツダム宣言を受託した日本の国際的な約束であったということなどが明らかになってきました。憲法調査会は5年間で議論を終了し、改正の発言をしないことになっておりますが、この議論の進展は非常に速まる可能性があることは否定できません。

 問題は国民の皆さんがどう考えているのかということですが、毎日新聞の調査を見ますと、憲法改正に賛成の人が43%います。しかしその改憲の理由で大きなウエイトを占めるのは、首相公選制、国民投票制度、知る権利の明記です。首相公選制が55%、国民投票制度が41%、知る権利の明記が38%。改憲理由を上から3つ並べるとこういうことになります。
 これを一言で言うと、今の日本政治の統治機構に対する不信の表われだと思います。たとえば森総理大臣はいったいどこで決められたのか。本当に5人ほどの幹部だけで、野中、亀井、青木、森、というようなところで決められてしまった、わけがわからない。そうだったら国民が投票で決めようではないか、という声が出てくるのは当然です。それから国会での法案審議でも、審議に時間をかけないで、数の力でもって議論もなしに押し切ってしまう。そうならば、国民投票で決めようではないか、こういう声が出てくるのも当然です。そういう前提として、知る権利が大事だという意見につながっている。そのことを私どもはしっかり受け止めていかなければなりません。

 それでは、一番の焦点になっている9条についてはどうかというと、9条の改正に反対が大体60%、賛成が40%くらいです。そして特に海外へ派遣する、つまり集団的自衛権の行使をすることに対しては反対が70%、賛成が30%。つまり9条、自衛隊の集団的自衛権、海外派兵などを含めますと、国民の多くが非常に強く反対しています。

 憲法はどんな役割を果たしているかという問いには、平和国家維持や基本的人権の尊重、健康で文化的な生活の保障と答える人が多かった。とくに平和国家維持ということを60%の人が評価しています。
 このように9条をめぐる議論と、首相公選制をめぐる議論とに二分化しています。したがって、これからどんな運動が必要なのかというと、日本の歴史や憲法についての認識についてもう一度原点に返って見つめ直しながら、21世紀の日本の未来を考えていくのが大事だと思います。

 (第37回護憲大会での挨拶を要約したものです。全文はこちら

   2000年11月1日
                                           衆議院議員 横路 孝弘