今のイラクは戦闘地域ではないか!
2004.1.29

 横路孝弘議員は衆議院「国際テロリズムの防止及び我が国の協力支援活動並びにイラク人道復興支援活動等に関する特別委員会(イラク支援特別委員会)」の質問に立ち、イラクに自衛隊を派遣した政府を強く批判した。
 横路議員は、防衛庁が報道機関に取材の自粛を要請したことについて「マスコミは自衛隊の安全を充分配慮して報道することを再三表明している。それなのに取材制限し、ホームページや本庁のブリーフィングで情報提供するということは大本営発表でしかない。報道の自由をどう思っているのか。真実を明らかにするという意味で報道の果たす役割は大変大事だ」と厳しく批判。

 また今のイラクの状況について「イラクはアメリカ・イギリス軍の占領下にあり、最近も掃討作戦を展開している。これはまさに戦闘行為だ。占領軍が行動している地域、戦闘行動を行なっている地域は戦闘地域になるんじゃないか」と、戦時国際法の解釈に基づいて鋭く追及した。
 これに対して石破防衛庁長官は「イラク支援特措法はここは戦闘地域、ここは非戦闘地域であると評価する予定をしてない。自衛隊が行動する地域は非戦闘地域でなければならない。サマワは戦闘が行なわれておらず、非戦闘地域であるというもとにやっている。」と、いつ自爆テロが行なわれてもおかしくないイラクの現状を把握していないことを露呈する回答をした。

 最後に横路議員は、「今まで日本の中東外交政策はフリーハンド、平和的で中立な国としてやってきた。しかし今回イラクに自衛隊を派遣したことによって中東外交政策の基本を変えることになってしまった。日本を敵視する人が増えてくるのではとみんな心配している」と、自衛隊派遣が今後の中東政策に悪影響を及ぼしかねないことを指摘した。

立花隆さんも注目
 作家の立花隆さんが『月刊現代』4月号で今回の横路さんの質疑を紹介しました。
 「1月29日の衆院イラク復興支援特別委員会で、横路孝弘議員は、自衛隊の報道自粛要請にこう噛みついた。『8項目ずっと見ますと、これだとほとんど取材できないということじゃないですか。これを拡大解釈していけば、いくらでも報道に対するコントロールができるようになる。自粛要請に従えない場合は、記者の登録を抹消することまでする。こちらが情報を提供したものだけ報道しろということでは、大本営発表にしかならないわけですよ。これでは報道機関の使命が果たせない。これは撤回すべきです』」

 議事録全文は以下のとおり


第159通常国会 国際テロリズムの防止及び我が国の協力支援活動
並びにイラク人道復興支援活動等に関する特別委員会 議事録


○横路委員 イラクへの自衛隊の派遣の承認を求める議論がいよいよ始まるわけですが、大変重要な問題でありますので、十分この委員会でも時間をとって、尽くした議論を、審議をしなければいけない、このように思っております。
 ただいまの本会議で小泉首相は、二十七日の本会議でイラクのサマワ市評議会が存在し機能しているという答弁を撤回いたしました。そして、その撤回の根拠としてオランダ軍とCPAを挙げたわけですが、これは日本政府としては確認されていないんですか。確認されての上なんでしょう。

○川口国務大臣 サマワの市の評議会議員が総辞職をしたということにつきまして、これにつきましては、二十五日の定例の治安会議におきまして現地の治安を担当しているオランダ軍から、二十四日、サマワ市評議会は最後の会合を開催して議員は総辞職をした、そういう旨の説明を受けております。それから、CPAのサマワ関係者からも、二十四日、サマワ市評議会は評議会メンバーが総辞職をしたという説明を受けております。
 我が方といたしまして、事態の推移を今後とも注視していきたいというふうに考えております。

○横路委員 いや、そのサマワ市評議会の方を含めて、日本政府はそれを確認されたんですかという質問です。

○川口国務大臣 情報についてはいろいろなソースからとるということでございまして、一つのソースはCPAであり、もう一つのソースはオランダ軍であるということでございます。その二つからは情報をとって、今申し上げたようなことでございます。
 それからもう一つ、評議会の議員、これは十二名おりますけれども、その人たちが何と言っているかということについて、聞いているかということですが、これについては、ずうっと現地において努力をいたしておりますけれども、巡礼に行った等の理由で現在の時点ではまだ直接に確認を彼らからはしておりませんけれども、基本的にCPA及びオランダ軍がこの地域については責任を持って対応しておりますので、そこから聞いたこと、そこからとった情報ということでお答えをしたということでございます。

○横路委員 つまり、日本政府としては確認をしないで、CPAとオランダからの情報に基づいて先ほど総理大臣は答弁を撤回されたということですね。
 つまり、今回、この問題、まず派遣ありきが先にあって、それにあわせて、先遣隊の方も駆け足で、本当に確認すべきところをやっぱり確認していない、極めて不十分な用意なまま行われているということを示していると私は思います。
 そして、その情報、情報の確認、情報の処理、情報の伝達、情報の管理、こういう問題が何も整備されていない、防衛庁そして外務省、官邸の間で。それで総理大臣にああいう虚偽の答弁をさせてしまったということですね。
 これは、官房長官、どこに問題があるんですか。余りにも、ともかくスケジュールを決めて、自衛隊の派遣ありきでやっているからこういうことになっているんじゃないですか。

○川口国務大臣 まず先にお答えをさせていただきたいと思いますけれども、確認をしないというふうに今横路先生おっしゃいましたけれども、情報というのは、片方だけからとるということではなくて、数多くのソースからとる、しかも責任のあるソースからとる。
 この問題について言えば、CPAというのはこの地域において今責任を持っているのであり、また、治安についてはオランダ軍が責任を持っている、そこのソースからとった情報であるということで、確認をしていないということではないということでございます。

○横路委員 私は、日本政府がサマワ市の評議会そのものに確認をしたんですかということを御質問申し上げたわけですが、そこはどうも確認していないようでございます。
 それで、官房長官、今回のようなことになった情報の処理や伝達、管理、こういうことについて官房長官はどのように考えていますか。

○福田国務大臣 事実関係、事実の発生、それから、それを日本において、また政府において政策等に反映するというような過程において時間的なギャップができてしまったということもあるかもしれません。
 基本的に申し上げれば、やはり政府内でもって情報の伝達がこのことに関しては少し時間がかかり過ぎた、こういうふうに思います。その結果、国会にも大変御迷惑をかけたというようには思っております。
 そういうことで、今後、政府が全体一体となって、情報の伝達を含め、政策判断も含め、しっかりとした対応をしてまいりたいというように思っているところでございます。

○横路委員 実は、今回の撤回で、私は、補正予算の審議、これもやっぱりやり直しをしなければいけないんじゃないかというように思いますよ。
 市の評議会が機能していないということになりますと、補正予算に計上している千百八十八億のうちのイラクへの直接支援等五百五十九億、これをどのように使うのかという予算委員会での質問に対して、川口外務大臣は、これは統治評議会の各省庁、それと地方政府がこの予算執行の対象であると。地方政府とは何か、それは市などの評議会であるという答弁をされているわけですね。その評議会がないわけですから、じゃ、この予算の執行どうなるんだということで、これも、この川口さんの答弁、しっかりやっぱり訂正しなければいけないわけでしょう。
 ですから、やっぱり予算委員会もちゃんとやり直しする必要が私はあると思いますよ。

○川口国務大臣 補正予算の中にございます経済協力予算につきまして、これは、我が国の経済協力の進め方をきちんと守って、透明性、効率性を持って予算の執行をするということは大事であるというふうに考えております。
 それで、イラクの場合でございますけれども、先般申し上げましたように、中央政府、各省庁、例えばパトカーのケースについては内務省というふうに申し上げました。そういったものもございますし、それから、例えば地方について言えば、地方政府というふうに申し上げましたけれども、サマワ市の評議会が今そういう状況であるとしても、ムサンナ県、この県の機能というのは、といいますか、県はちゃんとあるわけでございます。
 それから、イラクの中においては、サマワだけが対象ではございませんで、いろいろな市の評議会、例えばバグダッドでも市の評議会を対象に既にやったことがあるわけでございまして、そういう意味で、対象として、我が国が話をし、この予算を執行していく対象ということはきちんとあるわけでございます。
 逆に申し上げれば、この執行をきちんとした形でやっていくということについては非常に重要であるというふうに考えておりますので、そのきちんとした執行が確保されない、そういう状況であれば、そこを対象にして予算の執行は行わないということでございますし、今の時点で我々が持っている情報からいえば、この補正予算に計上されている千百八十八億円については、きちんと執行していく相手方、これがあるということでもございます。
 以上です。

○横路委員 これらの問題は、この後、達増議員や首藤議員の方でもってさらに詰めて議論をしていくことになっていますので、しっかり答えていただきたい、このように思います。
 いずれにしても、初めに派遣ありきで、どうも駆け足でどんどんどんどん進めているという嫌いがいたします。
 そこで一つ、こういうことの真実もマスコミの報道でわかったわけですね。私ども、現地の事情、状況がどうなっているのかということを含めて、マスコミがやはりしっかりとした報道をしてくれるということが大変大事だと思っています。
 防衛庁の長官にお尋ねしますが、一月九日付で、名前は事務次官の名前で、しかし長官みずからがマスコミの編集責任者を集めて、取材についての要請を行っていますよね。その要請について、特に次のことについて報道を自粛してほしいということで、八項目挙げています。
 これをずっと見ますと、一つ一つの議論はしませんけれども、これだとほとんど取材できないということじゃないんですか。全面、取材はお断りという感じの要請じゃないでしょうか。これは、私は撤回すべきだと思いますよ。

    


○石破国務大臣 委員御指摘の八項目というのは、こういうことでございます。
 イラク特措法に基づく自衛隊部隊の派遣に関する取材及び報道に当たっては、次に示す隊員の生命及び安全に関する事項についての報道を自粛するようお願いいたします。まず「部隊、装備品、補給品等の数量」それから「部隊、活動地域の位置」「部隊の将来の活動に関わる情報」「行動基準、部隊の防護手段、警戒態勢に関わる情報」等々でございます。
 それが、取材ができないではないかとおっしゃいますけれども、例えば「部隊、活動地域の位置」、それが本当に全部オープンになっていいのだろうか。あるいは「将来の活動に関わる情報」、それがオープンになって本当にいいのだろうか。「行動基準」というものがオープンになった場合には、その裏をかけば何でもできるということになってしまいます。
 私どもが申し上げておるのは、ここでも冒頭に申し上げましたように、「隊員の生命及び安全に関する事項」ということでございます。累次御答弁申し上げておりますように、私は、この法律の九条に基づきまして、派遣される自衛隊部隊の安全に配慮するという義務を負っております。
 私たちは、すべてのものを報道規制しようとか、委員御指摘のように、何にもわからないとか、そんなことをやろうとしているわけではございません。今申し述べましたように、「部隊の将来の活動に関わる情報」や「活動地域の位置」、それが明らかになることによって部隊の安全が保たれないということは、これは当然あるわけでございます。そういうものについて自粛をお願いしているものであって、これをオープンにできなければ全く取材ができないというような御指摘は、それは当たらないものと考えております。

○横路委員 自衛隊を迎えた現地の事情がどうなのかとか、それから自衛隊派遣の要件に一体合致しているのかどうかとか、やはりこれから、非常に重要な要素というのはたくさんあるわけですよ。これを細かく拡大して解釈していけば、幾らでも報道に対するコントロールになるわけで、しかも、記者証を発行するときに、同じようにこの八項目の自粛要請を出して、そして、これに従えない場合には記者の登録を抹消して取材を断りますよということもおやりになったわけですよね。
 私は、官房長官に、つまり、これからの国民保護法制、有事法制とも関連してくるわけなんですけれども、報道の自由というのは、取材をし、分析をし、編集をして報道するということで、民主主義社会の根幹なわけですね。これだけ国民が非常に大きな関心を持っている問題で、しかも、マスコミのサイドも、もちろん自衛隊の皆さんの安全ということは十分考えて報道しますよということは既に表明をしているわけです。そこは、やはりマスコミに私どもはお任せするしかないと思うんですね。考えてやってもらうということで期待をする。こういうことはだめですよということで取材制限をするということになって、結局、現地における取材を控えてもらいたい、ホームページや本庁のブリーフィングで情報を提供したいということになれば、これはもう大本営発表しかないわけですよ。しかも、その上で、中央のさまざまな記者会見の回数は減らすということでございますから、本当に発表したことだけを報道しろと。これはもう報道機関としての使命を果たすことにならないわけなんです。安全については、十分報道機関は配慮するということを再三表明しています。
 私は、官房長官に、これは今度の国民保護法制の中でも、あるいは有事法制の中でも、指定公共機関の、民放を含めたマスコミ関連で、総理大臣の指示権とか実施権との絡みで表現の自由がどうかということがやはり大きな議論になってきたところですね。どうもこれを前例にして、その後さらに厳しくしていく一つの前ぶれではないかというように、私はこの自粛要請を見て考えたわけですが、官房長官からお答えをいただきたい。報道の自由についてどのように考えるか。――いやいや、防衛庁長官はいいんですよ、わかっています。官房長官に、報道の自由、表現の自由についてどう思うかということを伺います。

○福田国務大臣 先ほど防衛庁長官からもお答えをしたとおりでございますのですが、今回、報道について注意をしていただきたいということを特に防衛庁からお願いをしたということは、やはり現地において、場合によっては命にかかわる、そういうような場面が多いのではないかということ。特に、実態的に見ましても、サマワに先遣隊が到着するときには、途中においてカーチェースのような取材をしたといったようなことで、かなりひんしゅくを買っている部分もあったわけですね。そういうようなことを見ていますと、やはり節度のある、これは抽象的な言葉でありますけれども、節度のある取材というものは当然あってしかるべきだろうというように思います。
 これは、報道陣の方々の生命のこともあるんですよ。そういうこともやはり自衛隊としては心配をしなければいけないという立場だろうと思います。と同時に、先ほどの防衛庁長官の答弁にありますとおり、自衛隊の隊員の生命ということも大変心配なわけでございますから、そういうことについては、まず極力安全を確保するという、そういう安全確保義務というものも法律にありますので、配慮しながらやっていかなければいけない。やはりそれは、取材の仕方、取材のあり方というものは取材陣にもよく考えていただかなければいけない、そういう面があるんだろうというふうに思っております。(横路委員「報道の自由」と呼ぶ)ですから、報道の自由は侵されるものではありません。しかし、節度のない報道の仕方というのは、おのずからそれは考えなければいけない問題ではなかろうかと思います。

○横路委員 私は、今回の、サマワ市評議会、存続しているかどうかということですね、これはマスコミの人の報道がなければわからんかった。情報は、外務省、防衛庁知っているけれども、それでもって答弁通されたかもしれないわけですね。我々、何もわからんかったかもしれない。
 ですから、報道の果たす役割というのは、やはり真実を明らかにするという意味で大変大事なんですよ。それは、やはりこういうことがあったから皆さんの方だって情報の管理について再チェックをして、点検されたわけでしょう。やはり報道の自由の持っている重要性ということを皆さんにまず申し上げておきたい、このように思います。
 それで、今回の自衛隊の派遣でございますけれども、これはもちろん従来のPKOとは全く違うわけですね。時によっては、ロケット砲やミサイルが飛んでくるかもしれないという相手と向かい合わなくてはいけないかもしれない。反撃を余儀なくされて、戦闘に巻き込まれて、交戦状態になることさえ考えられるわけです。したがって、海外で初めての無反動砲などの武器を持っていくことになるわけですね。
 私は、アフガニスタンで、日本はアメリカの戦争というものを、後方支援という形で軍事的な支援活動を行ったわけです。そして今回は、戦争状態が解消されていない、アメリカの占領下にあるイラクへ陸上を含む自衛隊を派遣するわけですね。これはもう明確に他国の戦争を支援するという行動でございまして、日本の国土を防衛する、専守防衛を柱とする自衛隊の基本を私は変えるものだ、このように思っています。
 従来のガイドライン、そして周辺事態法が成立して、日米の軍事協力の関係というのは一気に強化されたわけですけれども、それでもベースは、日本の国土防衛、日本の平和と安全をどう守るのかということがベースになっていたと思うんですね。今回はそういうベースもなくなっています。
 今回のことを前例として、ここで、予算委員会で行われた戦闘地域、非戦闘地域、武力行使、これはもうまさに政府が神学論争をやっているというように思いましたが、あんな定義に従えば、日米同盟を理由にして、アメリカから言われれば世界じゅうアメリカ軍と行動をともにするということになるんじゃないですか。歯どめはどこかにありますか、これは。

○石破国務大臣 今回のイラク派遣がPKOやあるいはテロ特と全く一緒である点が一つございます。それは、武力の行使を目的としないという点において、そしてまた、いかなる場面においても武力の行使ということはない、その点はすべて共通をしておるわけでございます。
 ただ、これは、PKOが国連の活動であるということに比べて、ではどうなんだと言われれば、これは国連決議の要請にこたえて派遣をしたものであるという点で、活動の主体がだれであるかという点においては、それは異なるという言い方はできるでありましょう。
 しかし、基本的に武力の行使を目的とするものではないということ、そして、今回イラク特措法というものをつくり、国会の御審議をいただき、国会において限時法としてそれが成立し、それに基づいて派遣をしようとしているということ、そしてまた、今回まさしくこうやって国会の御承認をいただこうとしておること、そのようなことを考えたときに、歯どめというのはまさしく民主主義である、この国会である、それを歯どめと言わずして何と言うか。これがまさしく民主主義の国におけるシビリアンコントロールというものであり、憲法を守るというものにほかならない。歯どめは何かと言われれば、我々、日本国の民主主義であるというふうに申し上げます。

○横路委員 一九八七年のイラン・イラク戦争のときに、当時アメリカはイラクを支持していたわけですけれども、ペルシャ湾に機雷が敷設されて、それで障害が出てきたということで、掃海艇を出してもらいたいという話が出てきて、当時、中曽根さんが総理大臣で後藤田さんが官房長官でございますけれども、海上自衛隊の掃海艇かあるいは海上保安庁の巡視艇を出したらどうかということになったときに、官房長官後藤田さんが反対されたんですね。
 その反対した理由は何かというと、自衛隊の基本的な性格というのは、他国からの不法な侵略を防ぐためにのみ存在を許される。したがって、その行動の限界はどこにあるかといえば、国内に限ってのものであって、海外の武力行使というのは断じて認められないと。ペルシャ湾はイラン、イラクの交戦海域で、しかも、アメリカを中心とする連合国に参加してしまう。日本のタンカーを守るといっても、攻撃を受ければ反撃せざるを得ない。軍事紛争に巻き込まれるおそれのある行動は絶対にとってはいけない。日本は正当防衛を主張しても、相手は交戦行為と見る、それが常識ではないかと言って、後藤田官房長官は当時の中曽根総理を説得したんですね。
 これは、当時はイラクへの支援の話なんですけれども、私は、この後藤田さんの議論というのは、今も通用する、説得力ある議論だと思いますが、この後藤田さんの考え方をどう思われますか。

○石破国務大臣 今委員御指摘の、イラン・イラク戦争のときにそのような議論が後藤田長官と中曽根総理との間で交わされたということは、承知をいたしております。
 その後、テロ特あるいはイラ特、その前にもPKO法というのがございますけれども、そのどれもその趣旨をきちんと踏まえて、間違っても武力の行使にならないように、そして、神学論争というふうに委員はおっしゃいますけれども、戦闘地域、非戦闘地域、そういうように地域を二分するものではございませんが、そのような概念を設けて、近傍で云々という規定を設けましたのは、まさしく、我々の自衛隊が海外において憲法で禁ずるがところの武力行使を行わないように、後藤田、中曽根両先生の間で交わされた議論がその後の法律にもきちんと生かされているということだと私は認識をいたしております。

○横路委員 そこで、ちょっと今話が出ましたからお伺いするんですけれども、戦闘地域であるかどうかというので、予算委員会でも議論されていましたよね。防衛庁長官の答弁を見ていると、相手方がどうなのかということだけが議論の焦点になっているんですね。
 例えば、今戦争があって、そしてアメリカ、イギリス軍の占領下にある。アメリカ、イギリスの占領軍が最近もよく掃討作戦というのを展開していますよね、いろいろな武力を使って。その掃討作戦を展開しているというのは、まさにこれは戦闘行為でしょう。今までの議論、何か相手のことばかり言っていますけれども、戦闘地域というのは何も、今占領している占領軍が行動している地域、戦闘行動を行っている地域というのは戦闘地域になるんじゃないですか。

○石破国務大臣 累次御答弁申し上げておりますように、イラクを、ここは戦闘地域である、ここは非戦闘地域であるという評価をすることをこの法律は予定をいたしておりません。我々の自衛隊が行動する地域は非戦闘地域でなければならない。ですから、例えば今回活動いたしますサマワという地域において、委員御指摘のように相手がどうのこうのということも含めまして、この地域においては戦闘地域というような認定ではなく、この地域は非戦闘地域であるというもとにやっておるわけでございます。
 要は、私どもが活動します地域が、戦闘が現に行われておらず、活動の期間を通じて行われると認められない地域であるかどうかということが肝要なのでありまして、我々が活動します地域はその要件を満たした地域でなければならない。仮にそうでなくなった場合の対応をどうするかということも、法に定められておるとおりでございます。

○横路委員 国際法というか戦時国際法の中で、戦闘地域という定義はないんですよね。交戦関係のある地域は、戦地というのがあります、リージョン・オブ・ウオー。それから作戦地域というのがあります、ゾーン・オブ・オペレーションズ・オブ・ウオー。それから戦場というのがあります、シアター・オブ・ウオー、これはいわゆるバトルフィールドですね。戦闘地域というのは、いわば作戦上の、戦術的な用語でして、ある地域のここをこの部隊が担当しているというのを戦闘地域と言っているだけの話なんですね。
 ですから、戦時国際法なんかに基づいて解釈すれば、軍隊が現に戦闘している、例えば掃討作戦をやっているという地域は戦闘地域になるんですね。戦闘地域にあらざる地域というのは、戦場でない地域を指すわけです。戦場というのは、戦闘が行われている地域並びに終わった後のまだ不安定な状態というものを指すんですね。
 ですから、どうも特異な概念をつくり上げてやっているわけでして、今イラク全体が、そんな意味では、占領軍がまだ掃討作戦をしなければいけないような状況であるということは、イラク全土がまだやはり戦争状態にある、戦場になっているんだということじゃないんですか。

○石破国務大臣 それは、この法律をつくりますときから、では、コンバットゾーンという言葉を使って、ほら戦闘地域じゃないか、あるいはウオーエリアという言葉を使って、戦闘地域じゃないか、いろいろな御議論がございました。
 私が注意しながら答弁を申し上げておりますのは、日本国憲法第九条によって禁ぜられるような行為を我々は行わないということを担保しなければいけないということを申し上げておる。我々、日本国の法律に基づいて出します以上は、日本国憲法九条における国際的な武力紛争、国際紛争を解決する手段としての武力の行使とは何かという定義をきちんと押さえた上で議論をいたしませんと、これは日本の憲法の範囲内においてつくる法律の議論が成り立たないわけでございます。
 何が国際紛争を解決する手段としての武力の行使か、何が戦闘行為であるかということは、何度も答弁を申し上げましたので、繰り返すことはいたしません。

○横路委員 フセインが逮捕されてからも、まだ自爆テロだとか、あるいはさまざまな襲撃、攻撃が行われているという状態にありますので、私は、まだまだイラクの状況というのは実質的には戦争継続の状態にある、このように思います。
 もう一つ、さっきの後藤田さんの話なんですけれども、もう一点後藤田さんが中曽根さんに反対した理由というのは、中東政策について意見を言われたわけですね。我が国の中東外交政策の基本を変えるんですかと。今まで日本はフリーハンドでやってきて、ある意味でいうと、イランにもイラクにも物を言うことのできるたった一つの先進国だ、今回の問題でペルシャ湾に自衛隊を派遣して実質的にイラクを応援するということになれば、それは、イランは必ず日本を敵視するようになるよということを後藤田さんは言って中曽根さんを説得したんですね。つまり、二つの理由で彼は当時の自衛隊の派遣に反対をしたわけです。この二つとも、私は今も通用する。
 みんながやはり心配しているのは、この後どういうイラクに政権ができるのか、シーア派、スンニ派、クルド、この三つのグループがうまく連携して政権ができるかどうか。これは、まずくするとすぐ周辺に波及をする、中東大混乱になるわけですね。
 日本は、今回アメリカに従ってこういう形で協力をすることになって、それがこれから後の中東、日本の政策にどういう影響を与えていくのか。やはりアラブのいろいろな声を聞くと、日本は今までは平和的で中立な国だと思っていたけれども、今回はこうなったのかということで、やはり敵視をする人がふえてくるんじゃないかということをみんな心配しています。
 基本的に、このことで今後の中東政策、後藤田さんのこのときの指摘というのを外務大臣はどのように思われますか。それを聞いて私の質問を終わります。

○川口国務大臣 結論から申し上げれば、このことによって中東政策が変わるということは一切ない。むしろ、変わらないからこそ、すなわち、中東地域が日本にとって非常に重要であると思うからこそ、イラクにおいてイラクの復興を助けるための人道復興支援を行うことにしているということだと思います。
 また同時に、イランとも我が国はずっと伝統的に友好的な二国間関係を持っておりまして、私は先般イランに行ってまいりましたけれども、その際も、そういうことを先方のハタミ大統領初め皆さん方と確認をしてまいりました。

○横路委員 終わります。