有事法制中間取りまとめ
2002年4月19日
新政局懇談会


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日本国憲法は全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免れ、平和のうちに生存する権利を有すると確認している。さらに基本的人権は侵すことのできない永久の権利として国民に保障している。
従って、これらの権利、基本的人権を侵害するおそれのある有事法制(緊急事態法制)を整備しようとすると、憲法上相当無理な解釈をしなければならなくなる。
しかし、国民の安全を守るという点から武力攻撃を受けた場合に限定して考えれば、現行の自衛隊法などの有事法体系のなかで不十分なところは充実・強化すれば良いと考える。


有事武力攻撃の可能性

ロシア
冷戦時代、仮想敵国としていたロシアは2000年のGDPは6.9兆ルーブル(約30兆円)で台湾の80%、日本の16分の1。
シベリア軍管区と極東軍管区に戦闘機260機と攻撃機220機があるもののパイロットの飛行訓練時間は20時間ほどと言われ、ペーパードライバー同然で他国を攻撃する能力は極めて低い。

北朝鮮
北朝鮮は人口2000万、GNPは多めに見て、沖縄県の半分1兆5000億程度。弾道ミサイルの危険度は1991年テルアビブに「アル・フセイン」39発を撃ち死者が4人。10発で1人死亡で、その程度の危険はあるが、国自体の体力がない。
99年10月の東亜日報の世論調査で韓国国民で北の脅威を強く感じるとした人は11%、日本で「北の脅威を強く感じる」は33%。韓国は北の能力をよく知っている。攻撃より北の崩壊を警戒している。

中国と台湾
過去5年間の武器輸入、台湾196億ドル、中国47億ドルで台湾が4.2倍。中国の2001年の国防費は1410億元(約2兆円)日本の4割程度。台湾は中国の情勢を熟知しており威嚇は通じず逆効果となっている。李登輝総裁も「侵攻は不可能でしょう」と言っている。
わが国が武力攻撃される可能性は限りなく0に近い。


政府の有事法制

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武力攻撃事態法案
防衛出動の要件である「武力」攻撃(武力攻撃のおそれのある場合を含む)が発生した事態に加えて「事態が緊迫し武力攻撃が予測されるに至った事態」を含め、広く設定されており、日本有事より極東有事に重点がおかれていることは明らか。
「日本の安全に影響がある」とされる「周辺事態」とどう区別するか不明確。極東有事―米軍への協力は、憲法が禁じると政府が解釈する集団的自衛権の発動につながりかねない。

A
安全保障会議設置法改正案
有事の際、国、地方自治体などが実施する住民避難などの施策の総合調整を図るため、内閣に臨時に首相を本部長とする対策本部を設置することを明記している。対処基本方針は、国会に承認を求め、不承認の議決があればすみやかに対処措置を終了させるとしているが、首相の自治体への直接指示も可能になり自治体首長の権限が一部制限される恐れがある。
有事においては自治体は先端である。自治体が武力攻撃を受けた場合、自治体首長が住民の生命や安全を守る役割を無視しているのではないか。

B
自衛隊法改正案
防衛出動前の「防衛出動が予測される場合」にすら、自衛隊が民間の土地を使用して陣地構築など「防御施設構築の措置」がとれることになっている。その際正当防衛(範囲が問題)や緊急避難の場合は、武器を使用することができるとしている。
自衛隊が民間に対して取扱物資の保管命令を出した場合、保管を命じた者に措置を要求し、立ち入り検査をすることができる。これらの協力拒否への罰則は問題。


米軍との関係

アメリカは有事の際、○在日米軍基地の機能が万全であること、○米軍への後方支援体制が確固たるものであることに重きをおいていると考えられる。
米軍は、有事(極東)における日米共同作戦にあたって、情報、戦略、作戦、指揮等について、米軍へ一元化することを求める可能性があり、事実上共同作戦ではなくなる。
周辺事態法では、対米支援での自治体協力は強制されないが、有事法制では私権や自治体の権限をアメリカの意に従った国が制約できることになっており、国の主権の問題になる。

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