米軍のどんな行動でも支援するのか?

衆院予算委で政府方針とテロ対策新法案を厳しく批判
2001年10月5日

 10月5日の衆議院予算委員会で横路孝弘議員が質問に立ち、アメリカ同時多発テロに対する日本の支援に的を絞って議論した。

 横路議員は冒頭で、国際社会としては犯人と組織の特定・逮捕・裁判・処罰して解体していくことが必要だとの見方を示し、中長期的にはテロが生まれる構造をなくすことを優先すべきだと指摘。同時に、国連を中心とした国際協力のあり方を議論することこそが重要であると問題提起した。
 「米軍のどんな行動でも支援するのか。市民への攻撃は避けるべきだとの見方もある点をどう考えるか」と質したのに対し、小泉首相は「ブッシュ大統領は非常に冷静である」との見方を示し、「憲法の範囲内で支援・協力体制をとる。それが国際社会の一員として責任を果たす。主体的に取り組んでいく」と、お決まりのフレーズを繰り返した。

テロ対策法案を厳しく批判する横路議員(写真左)

テロ対策法案を厳しく批判する横路議員(写真左)

 横路議員が「インド洋まで派遣する自衛隊の役割は何か」と質したのに対して、小泉首相は「民間にはない能力を自衛隊は持っている。国際社会が一丸となってテロ根絶のために戦うとき、自衛隊の能力が発揮できるのであれば、出すのが当然」と述べ、「武力行使はしないという前提のもとに、かなりやれることはある」と、相変わらずの答弁で終始した。

 横路議員は「憲法や国連憲章に基づいて行なわれるべきだ」とし、さらに今回のテロ対応は軍事力を結集した湾岸戦争型ではなく、それぞれに役割分担がある点を分析。「現行法の範囲内でも行なえる難民支援こそを日本が担うべきだ」と提案した。
 小泉総理は「現行法でできることは精一杯やり、現行法でできなくても自衛隊が活躍できるところがあれば、新法を制定する。自衛隊が働く場は現行法以上にある」として新法制定の必要性を重ねて述べた。横路議員は「PKOの人道支援という形で対応すべきだ」と応戦した。

 新法制定のベースとなっている7項目の中のひとつである「情報収集のための自衛官艦艇の派遣」の目的についても、横路議員は「艦艇を派遣しての情報収集とは何か」と質問。また、「本来は米軍の作戦行動があって、それに対して協力するか否かを決めるべきもの。米軍が何をするかもわからない時点で、大部隊を送るような構想が出来上がっているのが問題」とし、イージス艦もAWACS(エイワックス)の配備も不要だと強く否定した。

 また、新法の問題点として、横路議員は(1)地理的制約がなくなり、地球規模で米軍と行動をともにする構図ができあがった。(2)外国の領土内での活動を可能にした。(3)米国以外の外国軍隊と一体となって行動することを可能にした。(4)自国が攻撃されていないにもかかわらず、他国を攻撃することを可能にした、とした4項目を提示。「憲法論議を曖昧にしたまま、事実上の集団的自衛権に道を開いた」と分析した。

 また、横路議員は、新法では武器や弾薬の輸送を可能にするとしている点について、武器・弾薬の補給は武力行使とは別だとの論理は、戦争の実態からすれば成立しないことを指摘、「ごまかしの理論だ」とした。
 中谷防衛庁長官は、「武力行使と一体化しないというのが大前提だ」とし、実施地域がわが国の領域および戦闘行為が行なわれていない地域に限定しているため、武器・弾薬を輸送しても米国との武力行使の一体化とはいえず、憲法上の問題は生じないと繰り返した。

 横路議員は武力行使が認められるのは、国連憲章第51条で認めた条件と国連憲章第7条で認めたものであると説明した上で、「今回の行動も国連決議1368を根拠だとするのは無理がある。日本政府も米軍も、行動するにあたっても、新しい国連決議がどうしても必要だ」と重ねて指摘した。

 さらに横路議員は、テロ特別措置法案の成立にも非常に危うさを感じるとして「シビリアンコントロールの原則は国の基本であって、急を要するから事後報告でいいということになると、軍事優勢になってしまう」と鋭く批判した。
 中谷防衛庁長官が「今回の法案はテロ事案に対応してとり得る特別措置法。必要がなくなれば廃止するのが前提。そうした点を見ると、今後の派遣部隊等についての国会の同意は、法律が成立されるとそれについてもお認め頂いたとみなせる」とした。
 これに対して横路議員は言葉を強め、「新法が通ればそれが国会承認だとする議論は暴論だ」とその答弁を厳しく批判した。

 横路議員は、「充分な国会論議が必要だ」と釘をさし、アメリカ研究者の日本政府の見方を紹介。「ブッシュ政権が何を日本に求めているのか。どうやったら自衛隊は米軍を満足させられるかといった問題ではないと指摘している。全くそのとおりだと思う」として、政府の方向性に疑問を呈した。

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