憲法調査会で意見を述べる
2000.4.27

○横路委員 民主党の横路です。
 私は、憲法は、国の根幹というものをはっきりさせ、国の理想、目標を明らかにするもので、現実にどうするかということは、憲法を踏まえて法律でこれを行うというのが我が国の形だ、このように思っています。
 現在、日本はいろいろな問題に直面しています。それは、さまざまなシステムや組織が金属疲労を起こしているわけですが、ではそれが憲法に一体原因があるのでしょうか。例えば、警察の不祥事がいろいろ続いています。それは、今の警察のシステムとその運営をしている人々に問題があるのであって、憲法に問題があるわけではありません。また、今我が国は構造改革を進めていかなければなりません。しかし、その構造改革、例えば行政改革、税制改革、公共事業や社会保障の改革といったものを進める上で、では憲法が障害になっているのでしょうか。私は障害になっているとは思いません。
 言うまでもないことですけれども、憲法は、日本の歴史の中で誕生して、歴史の中に存在しているということを忘れてはならないと思います。この間の制定過程のヒアリングの中でも、その点が大変明確になったと思いますが、この日本の歴史という場合に、ポツダム宣言を受諾しなければならなかった、その前の歴史をやはりしっかり踏まえなくてはいけないと思います。朝鮮を四十年近く植民地化し、中国を侵略し、そして真珠湾攻撃から始まったアメリカとの戦争、その間のアジア諸国への侵略、それがポツダム宣言の受諾となったわけであります。このポツダム宣言の受諾は、いわば日本の国の国際的な公約であり、約束であると思っております。
 この戦争を通じて、日本の国民、アジアの人々、たくさんの人が亡くなりました。したがって、この憲法は、戦争を二度と起こさないということ。そしてまた、戦争を遂行していくために、日本の国内では明治憲法下で治安維持法が制定されまして、人々の表現の自由、基本的な人権は奪われていたわけであります。私ごとで恐縮ですけれども、私のおじの一人も治安維持法違反で逮捕されまして、東京の築地警察で亡くなっておる、そんな者がおります。こういうことがついこの間日本の国内で行われていた事実というのを私たちは忘れてはならない、このように思っています。
 また、天皇の名のもとに行われた、特に戦争を遂行するために、行政が権力を持って経済もコントロールする極めて中央集権的な国家ができたわけですから、したがって、国民主権ということが、いろいろと議論された上で、大きなこの国の原則になっているわけであります。
 私は、このいわば新しい憲法が生まれるに至る歴史というものを消したい人がおられるのかもしれませんが、しかし、この歴史は消すことはできないというように思います。これから何百年たっても忘れてはならないことだと思っています。
 ですから、私は、この憲法について十分議論をしていかなくてはいけないと思いますが、今日本がやらなければいけない改革にとって何が一体障害になっているのか、憲法上障害があるのかないのか、そこの議論をしていくべきだというように思いますし、この憲法を大きな前提として、憲法を変えるのではなくて、どうしても何かつけ加えなければいけないことがもしあるとするならば、合意できることがあるとするならば、それは何なのかということを議論することもこれから大事ではないか、このように思っています。
 繰り返しますが、憲法は、日本の歴史の中で誕生して、歴史の中に存在しているということをしっかり踏まえて議論をしていかなければいけないだろう、このように思っています。