国会での集中審議要請へ
雪印大樹工場を聞き取り調査
2000.8.29

 雪印乳業(株)大阪工場における食中毒に関してその後、雪印乳業大樹工場が生産した脱脂粉乳から、黄色ブドウ球菌の毒素が検出されて問題となりました。
 そこで民主党の国会議員や道議らでつくる調査団(本部長 横路孝弘、団長 金田誠一)約10人が8月25日、帯広保健所や雪印乳業大樹工場を訪れ、原因究明のための聞き取り調査をしました。

 大樹工場で団長の金田誠一衆議は「毒素が検出された脱脂粉乳の生産元が大樹工場と聞き衝撃を受けた。原因を明らかにして、二度と起こらないようにしてほしい」と話し、説明を求めました。
 工場側からは「(3月31日の)停電時に製造していた脱脂粉乳は廃棄したと思っていた。廃棄していないことに気づいたのは、最近だった」などと説明がありました。
 金田衆議は「正直な報告とは受け取れなかった。大阪であれだけの食中毒が出ていたのに、大樹工場が原因と気づかないのもどうか」と話しました。

 党対策本部はHACCP(ハサップ)の改正と、消費者の立場や情報公開などの面で大変遅れている食品衛生法の改正案づくりを進めています。また、衆院の厚生委員会を早急に開くよう要請し、雪印の責任問題と、厚生省が出した雪印工場の安全宣言の妥当性などについて集中審議したいとの考えを明らかにしました。

 民主党は今後も、道内の基幹産業である食品生産・加工分野の安全管理の徹底と信頼回復に向けて、調査を続けていきます。

 調査・訪問内容  民主党現地対策本部と打ち合わせ
            帯広保健所から説明
            雪印大樹工場で事情説明、視察
            大樹町役場、大樹町農協から説明
            記者会見


@北海道帯広保健所における調査概要に関する担当者発言要旨

 ・ 31日11時〜14時の停電は、日誌で確認した。
 ・脱脂粉乳のライン、チーズのラインともに当時は自家発電装置はなかった。
 ・加温は48℃〜52℃にする。その時に停電した。
 ・殺菌は120℃、4秒殺菌(普通の牛乳は2秒)。それでも殺菌が残ったということは、かなりの細菌数ということになる。
 ・停電で細菌が増殖するかどうかは、衛生試験所で再現テストをした。
 ・工場には、危機管理マニュアルの作成等を指示した。それらがなされた後、試運転、営業禁止処分の解除へと進むことになる。
 ・8月19日に収集した分は、サンプル室にはなかった。いろいろとやりとりした結果、4月1日と4月10日製造のサンプルは現場にあった。
 ・4月の脱脂粉乳のラインは、4月1日と4月10日だけ動いている。クリームはバター工場に送る。
 ・雪印にはチャンスは2回あった。1回目は停電時の1トンを廃棄していればよかった。2回目は98,000個の細菌が確認された脱脂粉乳を廃棄していればよかった。
 ・これらを使用することは、普通は考えられない。
 ・立ち入り検査は年3〜4回くらいである。
 今後の課題
 ・細菌の増殖については再現テストを行ったとのことであるが、テスト結果は帯広保健所にはまだ届いていないとのことであったので、早急に入手を要する。
 ・停電から工場再開に至る時系列の資料を求めたが、保有していないとのことであったので早急に入手を要する。


A雪印大樹工場における発言要旨およびその問題点

○停電時に加温状態にあった滞留乳について
(工場側)
 ・廃棄・洗浄したと思っていた。そのように製造課長から報告を受けていた。
 ・そうでなかったということは、8月19日、20日の保健所の立ち入り調査で分かった。
 ・滞留乳は1トンであり、それが脱脂乳タンク(130トン)の中に入った。
 ・捨てられたと思っていたので、毒素は予測できなかった。そうでなければ予測できた。
(問題点)
 ・停電後に廃棄・洗浄したかどうかは、その時点で確認できたはずである。
 ・仮にその時点で廃棄・洗浄されたと思ったとしても、細菌数が基準をオーバーした製品が380袋もできた時点でわかったはずである。
 ・従って、毒素の存在はその時点で予測できたはずであり、大阪工場の事故との関連も予測できたはずである。
 ・8月19日、20日の保健所の立ち入り調査で初めて分かったという説明は、信用できない。
○380袋(いわゆるBロット)の再使用について
(本社側)
 ・(再使用したのは)もったいないと思ったのだろう。エンテロトキシンについての認識はなかった。
(工場側)
 ・判断したのは、工場の管理者である。
 ・支社には報告していない。
 ・ブドウ球菌を計ったが、出なかった。エンテロトキシンを計る機械はなかった。
(問題点)
 ・380袋もの再使用が工場独自の判断できるかは疑問である。
 ・細菌のプロ集団が、エンテロトキシンについて認識がなかったということは考え難い。
 ・安全より経済性を優先したことが明白になったものであり、こうした会社の体質自体が問題である。
○大阪工場事故との関連について
(本社側)
 ・大阪工場の原料を検索した際、日報にACXとあったが、ACQ(大樹工場)の書き違いだった。
 ・書き違いだったことは、7月10日〜15日に分かった。
(工場側)
 ・大樹工場の脱脂粉乳と大阪工場の事故との因果関係は認識しなかった。
 ・7月31日に大阪府警が来て、原因である可能性があると言われた。
 ・大樹工場の脱脂粉乳が大阪鉄道倉庫に送られたまでは分かる。その先は調べれば分かるが…。
(問題点)
 ・日報の書き違いと言っているが、大樹工場からの原料が入っていたことを当初から意図的に隠したのではないか。
 ・7月10日〜15日に分かった時点で、直ちに大樹工場のサンプルを調査すべきであった。行政が承知していなかったとすれば重大な問題である。
 ・7月31日に大阪府警から「可能性がある」と言われながら、それを解明せずに8月2日に安全宣言を出したことは重大な問題である。
○雪印乳業北海道支社に対する報告について
(工場側)
 ・停電は遮断機が壊れたことによる。高価なものなので支社に報告している。
 ・380袋の再使用については、支社には報告していない。
(問題点)
 ・責任の所在を大樹工場に限定しようとしていると思われる。
 ・しかし、停電自体については報告されており、こうした長時間の停電は異例でもあることから、一連の措置が工場の判断のみで行われたとは考え難い。

B大樹町役場における調査概要に関する担当者発言要旨

(大樹町側)
 ・生産者への影響が心配である。ホクレンに対応してもらっている。
 ・雇用問題が重要である。400人近くいる。
 ・改善計画の実施、操業開始を早くしてほしい。
(JA大樹組合側)
 ・脱脂粉乳を作っているとは頭になかった。チーズだと思っていた。
 ・ホクレンと協議して今のところは問題なくいっているが、一日も早く正常化してほしい。
(JA広尾組合側)
 ・ショックは相当なものだ。
 ・距離的にあるので、ローリーの運行時間が2時間→6時間になった。
 ・早く再開しなければ大変なことになる。

C今後の対応
○資料の入手
 ・「細菌の増殖についての再現テスト結果」および「停電から工場再開に至る時系列を示す資料」その他を入手することが必要である。
○問題点の解明
 ・雪印大樹工場の調査における問題点について、解明する必要がある。そのため、厚生省および雪印本社のヒアリング、厚生委員会における集中質疑等を早急に行う必要がある。

以上

(報告書提供 団長 金田誠一衆議院議員)